混合農業の分布や特徴を簡単に解説、ジャガイモと豚を育てる仕組み

ヨーロッパでは耕作と牧畜を組み合わせた混合農業が発展しました。混合農業はドイツやフランスの代表的な農業スタイルなので、試験では頻出論点になります。

 

しかし、教科書では混合農業に関する解説は少なく、試験に対応するには不十分と言えます。また「三圃式農業」「てんさい」など見慣れない単語も理解しなければいけません。そこで、混合農業について仕組みや具体的な農作物も踏まえて説明していきます。

 

輪作と牧畜を組み合わせる混合農業のメリット

毎年、同じ土地で同じ作物を栽培し続けると、土地の栄養が偏ってしまったり、害虫が増えたりします。これを「連作すると地力が低下する」と言います。地力が低下すると、作物の収穫量が減ってしまします。

 

これを防ぐために行われるのが「輪作」です。輪作とは、以下の図のように畑を複数の区画に分け、別々の作物を順番に栽培する方法です。

 

休閑地とは、地力を回復させるために休ませておく土地のことです。衛星写真で見ると、区分ごとに色が異なるのが分かります。土地を分け、それぞれの土地で異なる種類の作物を育てているため、このようになります。

 

混合農業の分布や特徴を簡単に解説、ジャガイモと豚を育てる仕組み

 

土地を2分割し、耕作と休閑を繰り返す輪作スタイルを二圃式農業。また、夏作、冬作、休閑を繰り返す輪作スタイルを三圃式農業と言います。なお、三圃式農業に牧畜が追加されたスタイルが混合農業です。

 

混合農業のメリットは、輪作することで地力の消耗を抑えるだけでなく、家畜の糞を肥料として活用し地力が改善されることです。

 

このように、混合農業は地力低下を防ぎながら、効率よく農業を継続するスタイルになります。現代では肥料が発達したため土壌問題が改善しましたが、輪作と牧畜を組み合わせる様式は今でも引き継がれています。

 

混合農業で栽培される作物の具体例

混合農業で栽培される主な作物をご紹介します。まず、食用として栽培される代表的な作物は、小麦、ライ麦、ジャガイモです。

 

ほとんどの場合、混合農業では小麦が栽培されています。欧米の主食がパンであることを理解すれば小麦が生産されている理由は「食用」だと分かるはずです。

 

しかし、寒冷地域では小麦の栽培が難しいです。そのため、小麦の代わりにライ麦が栽培されることになります。ライ麦についてもパンの原料になり、ライ麦パンや黒パンと呼ばれています。

 

飼料用として栽培される代表的な作物は、大麦、エン麦、トウモロコシ、テンサイ、アルファルファ、クローバーです。

 

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大麦は家畜のエサとしての用途以外に、ビールの原料にもなります。そのため、ヨーロッパではビール生産も盛んになりました。

 

テンサイは、冷涼な地域で栽培される代表的な作物です。てんさいは「サトウダイコン」とも呼ばれ、グラニュー糖の原料になります。糖分を搾り取った残りカスが家畜の飼料となるため、捨てる部分のない効率的な農作物になります。

 

アルファルファやクローバーといったマメ科植物は根粒菌(こんりゅうきん)というものをもっています。

 

「根粒菌」は、窒素分子を土壌に蓄積させる働きがあり、地力改善につながります。そのため、家畜のエサにもなり、肥料の役割も果たすという一石二鳥な農作物になります。

 

しかし、1906年に「ハーバーボッシュ法」という画期的なアンモニア生産方法が発明され、窒素肥料(硫安、塩安など)が大量生産できるようになりました。そのため現在では、わざわざマメ科を栽培しなくても肥料を使えば地力回復に繋がります。

 

肥料が無かった時代の工夫としてアルファルファやクローバーなどのマメ科植物が利用された歴史を理解しておきましょう。

 

牧畜では牛や豚が飼育される

土地があまり肥沃ではない地域では、混合農業で農作物を育てつつ、牛や豚の飼育に注力しています。土地が痩せていながらも混合農業を行うドイツが良い例でしょう。

 

ドイツは豚の輸出国として代表的な国です。土地が痩せている分、家畜の飼育の方に注力し、畜産物を国外へ輸出することで経済的価値を生み出すのです。

 

ここまで農作物と牧畜について、様々な農作物が登場しました。これを一発で覚える方法を教えます。それはドイツの特産品を覚えるだけで良いです

 

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ドイツといえばビール(大麦)、パン(小麦)、ジャーマンポテト(ジャガイモ)、ソーセージ(豚)になります。これらは全て混合農業により栽培された農作物になります。

 

ヨーロッパ以外で混合農業が盛んな国や場所はどこ?

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混合農業が盛んに行われる場所としてよく挙げられるのは、ヨーロッパになります。しかし、ヨーロッパ以外の地域でも輪作と牧畜を組み合わせた混合農業が盛んな地域があります。

 

例えば、アメリカのコーンベルト、湿潤パンパなどです。それぞれの地域の環境や、そこで生産される作物や畜産物について解説していきます。

 

アメリカのコーンベルトではトウモロコシ栽培が盛ん

アメリカの中西部、オハイオ州からアイオワ州にかけて広がる地域では肥沃なプレーリー土を利用したトウモロコシの栽培が盛んです。なお、この地域はコーンベルトとも呼ばれています。このとき、「コーンベルト=混合農業」であることがポイントになります。

 

食用のトウモロコシを栽培しているのではなく、飼料用として栽培していることが重要です。トウモロコシを食べたブタや肉牛を販売することでビジネスを展開しているのです。

 

ちなみに、トウモロコシはバイオエタノールの原料にする用途もあります。また、ブタだけでなく七面鳥の飼育も盛んに行われています。七面鳥はクリスマス料理の定番なのでアメリカでは需要が高い商品になります。

 

とにかく高く売れる商品を大量に作るという考えで農業が行われている地域になります。このようなスタイルを商業的農業とも言います。こちらの詳細ついては後述しています。

 

アルゼンチンの湿潤パンパで盛んな混合農業

アルゼンチンに広がる草原地帯をスペイン語で「パンパ」と言います。パンパと一言でいっても「乾燥パンパ」「湿潤パンパ」で分けられます。混合農業を行っているのは、東側の「湿潤パンパ」です。一方、内陸部の「乾燥パンパ」では牧羊がされています。この差は、気候の違いと大きく関わっています。
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「湿潤パンパ」の気候は温暖湿潤気候(Cfa)に区分され、一年を通し降水量が安定しているので、農作物の栽培に適しています。しかし「乾燥パンパ」はステップ気候(BS)に区分され、乾季には降水量が極端に減ります。

 

雨季には牧草が育つので牧畜は可能ですが、農作物の栽培には不向きな気候です。よって「乾燥パンパ」では混合農業ではなく牧羊がされています。

 

「湿潤パンパ」の土壌はコーンベルトと同じプレーリー土なので、その肥沃な土壌を活かしトウモロコシ、小麦、アルファルファを栽培しており、肉牛を飼育しています。

 

オーストラリアの混合農業では牛肉と羊

オーストラリアの土壌は痩せており、また干ばつしたり洪水になったりと土地の状態が安定しません。

 

そのため、農作物よりは牧畜に力をいれています。栽培している主な農作物は、小麦、大麦、ソルガムです。ソルガムとは、別名「モロコシ」や「コーリャン」とも呼ばれる穀物です。痩せた土地でもよく育つのが特徴で、飼料や食料になります。

 

力を入れている牧畜において、主に飼育しているのは羊や肉牛です。羊も牛も、オーストラリア国内の生産量は世界上位ですが、国内の市場が大きくない(国内では買い手が少ない)ため多くは輸出されます。

 

混合農業の試験対策や注意点

まず混合農業の形態を理解し、その他の農業との違いをおさえましょう。混合農業について理解が十分でない場合、地中海式農業や二毛作など形態が似ている農業と混同されがちです。

 

また、混合農業が盛んな地域は、気候や栽培される作物と関連付けて覚えましょう。地図の分布から農業の名称を答える問題でも、気候区分さえ覚えていれば農業の形態を推測できるようになります。

 

混合農業と地中海式農業の違い

混合農業と地中海式農業は特に混同されやすいため、違いをしっかり押さえましょう。
混合農業と地中海式農業は、ヨーロッパで盛んという点、輪作に加え牧畜も行うという点、代表的な作物として小麦が挙げられる点、以上3点において共通しています。

 

それに対し、混合農業と地中海式農業の違いについては、2つ挙げられます。まず1つ目は、気候の違いです。混合農業が行われる地域は、温暖湿潤気候(Cfa)もしくは西岸海洋性気候(Cfb)です。どちらの気候も、1年間を通して湿潤であることが分かります。

 

一方、地中海式農業が行われる地域は、地中海性気候(Cs)です。地中海性気候は、夏になると降水量が減少し乾燥するのが特徴です。

 

2つ目は、栽培される作物の違いです。気候が違うので、伴って農作物にも違いがでてきます。混合農業では、小麦の他にトウモロコシやてんさいなど、ある程度水分が必要な作物が育てられます。

 

一方、地中海式農業では、オリーブや柑橘類、ブドウなどの耐乾性作物が栽培されます。耐乾性作物とは、乾燥した気候の中でも育つ作物のことです。地中海式農業の夏は乾燥するので、耐乾性作物の栽培に適しています。気候と、栽培される作物、以上2つが混合農業と地中海式農業との違いになります。

 

混合農業と二毛作の違い

次に、混合農業と二毛作の違いについてです。混合農業と二毛作は、一年間で複数の作物を栽培するという点で共通しています。しかし、一定期間に、同じ耕地で栽培される作物種の数が違います。

 

例えば混合農業の場合、ひとつの耕地で小麦を育てることに決めたら、その耕地では1年間は小麦しか栽培しません。その隣は1年間にてんさいしか作らない耕地、またその隣は1年間に大麦しか作らない耕地があります。結果として、1年間に複数の作物が収穫できる仕組みになっているのです。

 

それが二毛作の場合だと、ひとつの耕地で夏には米を、冬には小麦を育てます。つまり、二毛作はひとつの耕地で1年間に2種類の作物を栽培することになります。どちらも一定期間に複数種類の作物が栽培されますが、耕地の数が違うのです。

 

自給的混合農業と商業的混合農業の違い

混合農業は、農産物や畜産物の用途によって、自給的混合農業と商業的混合農業に分けることができます。
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自給的混合農業は、自家用穀物栽培を重視するのが特徴です。畜産物の飼育や販売には注力せず、食用作物の栽培に力をいれます。自給的混合農業が行われるのは、ロシア、ウクライナ、バルカン半島などの東ヨーロッパ地域です。

 

一方、商業的混合農業は、畜産物や飼育作物の生産に力をいれています。これら農産物や飼育作物は、輸出する目的で生産されています。言わば商品です。自分たちの食用目的ではなく、経済的な利益を得るために、家畜の飼育をしています。商業的農業が行われるのは、西ヨーロッパ、コーンベルト、湿潤パンパ、オーストラリアです。

 

なぜ自給的混合農業では穀物を重視し、商業的混合農業では家畜に力を入れるのでしょう。それは家畜の方が付加価値が高いからです。具体的にはトウモロコシを1トン販売するより、ブタを1トン販売する方が儲かるからということです。

 

まとめ

混合農業は、輪作に加え牧畜をする農業形態です。土地を4つに分け、そこで一定期間ごとにローテーションして作物を作ります。栽培される主な農作物は、小麦、トウモロコシ、てんさい、アルファルファやクローバーなどの牧草です。

 

主に飼育されている家畜は、豚、牛、羊です。混合農業は1年の間に複数種類の作物を育てるので、温暖湿潤気候(Cfa)や西岸海洋性気候(Cfb)など、1年を通して降水量が安定している地域で行われます。

 

混合農業が行われる地域や国、そこで育てられる農作物をしっかりおさえ、試験に臨みましょう。

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