地表は15枚のプレートと呼ばれる岩盤で覆われています。これらは年間に数cmの速さで移動しているため、プレート同士がぶつかります。そうしたポイントでは特徴的な地形が出現します。
プレートの境界を3つに分類すると「広がる境界」「狭まる境界」「ずれる境界」になり、それぞれの特徴や具体例が試験で問われやすくなります。
そこで、この記事ではプレートの境界に見られる地形や具体例を踏まえて、分かりやすく説明していきます。
マントル対流によりプレートが動く
そもそも、プレートの下にはマントルがあります。このマントルは液体ではなく、固体ですが、地球中心部の熱で温められてマントルは少しずつ動いています。マントルが長い時間をかけて動くことで、その上に乗っかっているプレートも少しずつ動いていきます。
マントルは地球内部で対流しており、「マントル対流」と呼ばれます。これを図示すると以下のようになります。
これを踏まえてプレートの境界を説明して行きます。
広がる境界は新たなプレートが生まれる場所
広がる境界はマントルが噴き出る場所であり、プレートが左右に押し広げられます。ここで注意すべきポイントは、地球内部から湧き出すのはマグマではなく、マントルであるということです。
マントルは固体ですが、マントルが溶けて液状になったものをマグマと言います。こうした専門用語の違いを正しく理解することも大切になります。
なお海洋プレートの境界が広がるところは海嶺(かいれい)と呼ばれます。プレートが生み出される海嶺では、周辺よりも高くなっています。代表例は大西洋中央海嶺です。
大陸上に広がる境界がある場合は、地溝(ちこう)ができやすいです。地溝は陸地が裂けるような動きをします。その結果、谷がみられることが多いです。ここからは、それぞれの具体例を説明していきます。
大西洋中央海嶺(アイスランドのギャオ)は広がる境界の代表例
大西洋中央海嶺は、大西洋を南北に貫く海嶺です。この海嶺上にはアイスランド島が存在しています。
海嶺が成長を続け、海の上に現れるようになったのがアイスランド島です。そして今なおこの海嶺は活動を続けているため、アイスランド島は少しずつ引き裂かれています。
そうして引き裂かれてできたものが以下の写真のような大地の裂け目です。現地の言葉ではギャオと呼ばれています。ギャオはアイスランドの各地で見ることができ、中には水が溜まっているものもあります。
海嶺はプレートの境界ではありますが、火山活動はほとんどの場所で起こっていません。しかしアイスランドでは火山活動が活発で、地熱発電や温泉があります。特に地熱発電は有名で電力供給の約30%を占めています。
実はアイスランドは特殊なパターンであり、海嶺とホットスポットが重複した場所になっています。アイスランドの火山活動は海嶺によるものではなく、ホットスポットによるものだと理解した方が良いでしょう。
アフリカ大地溝帯(グレートリフトバレー)は巨大な谷
プレートの広がる境界は、大陸に出現することもあります。その代表例がアフリカ大陸を南北に縦断する大地溝帯(グレートリフトバレー)です。
アフリカ大地溝帯の中央は巨大な谷になっています。これは広がる境界でプレートが裂けるためであり、侵食による影響ではありません。
また地溝とセットで出てくる地形が、断層湖(構造湖)です。断層湖は、地溝に水がたまることで形成されます。その代表例はタンガニーカ湖、マラウイ湖です。
狭まる境界はプレート同士が衝突する場所
プレート同士が衝突する場所は狭まる境界になります。大陸プレート同士が衝突すると山脈が形成されます。
また、大陸プレートと海洋プレートが衝突する場所は、海溝と呼ばれます。海溝の近くでは地震が多発します。さらに、海溝の付近で起こる地震では、規模が十分なものだと津波を引き起こす可能性が高いです。
このように狭まる境界では山脈や海溝ができます。このとき、大陸プレート同士が衝突すると山脈ができ、大陸プレートと海洋プレートが衝突すると海溝ができます。
これはそれぞれのプレートの比重の違いが原因です。基本的に大陸プレートは比重が小さく、海洋プレートは比重が大きいです。その結果、両者が衝突した場合は海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込みます。
ヒマラヤ山脈は狭まる境界の代表例
狭まる境界の例として、真っ先に思いつくのがヒマラヤ山脈です。インドはもともとインド亜大陸と呼ばれ、ユーラシア大陸と陸続きになっていませんでした。しかし、インド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートが衝突して、インドとユーラシア大陸の距離は徐々に近づいていきます。そして長い時間が経過して、現在のようにインドはユーラシア大陸の一部となりました。
1つの大陸となった後も2つのプレートは衝突を続けます。その結果、地層が激しく押され褶曲して山脈を形成しました。それがヒマラヤ山脈です。今でもヒマラヤ山脈の標高は年に数センチ高くなっています。
世界で一番高いエベレスト山があるなど、ヒマラヤ山脈は「世界の屋根」と呼ばれるほど高い山々が連なりますが、褶曲によって形成された山脈なので火山はないです。
アルプスヒマラヤ造山帯で見ても、火山があるのはイタリアやアフリカの一部だけです。環太平洋造山帯と好対照であり、試験で問われやすいので覚えておきましょう。
日本海溝はプレート同士の衝突によりできた
海溝の代表例は日本海溝です。日本列島の周辺には4つのプレートが存在しています。その中の2つである、太平洋プレートと北アメリカプレートがぶつかりあうことで日本海溝が形成されます。北アメリカプレートが太平洋プレートにかぶさる形で存在します。
日本は地震大国であるとよく言われます。日本で地震が多く起こるのには日本海溝が関わっているのです。その証拠に地震の震源の分布は2つのプレートの接している面、その中でも太平洋プレート側に多くなっています。
日本海溝が原因で起こる地震のメカニズムを説明します。最初に、北アメリカプレートの先端が太平洋プレートにつられ沈み込みます。
長い期間が経過すると、北アメリカプレートには大きなひずみが生じます。そのひずみを解消するために、もとに戻ろうと力が働きます。その結果、地震が発生します。このメカニズムで発生する地震を海溝型地震と言います。
日本海溝では過去にも大きな地震が発生しており、その代表例は2011年東日本大震災での地震です。この地震のマグニチュードは9で、観測史上世界で4番目に規模の大きい地震でした。この時は津波も発生し甚大な被害をもたらしました。
ずれる境界はサンアンドレアス断層を覚えれば良い
「広がる境界」「狭まる境界」「ずれる境界」と3つに大きく分けられますが、ずれる境界でテストに出るのはアメリカ西海岸にあるサンアンドレアス断層だけです。
他の2種類の境界と大きく違うのは、プレートが生み出されたり、消滅したりすることはないということです。ずれる境界では2つのプレートが水平方向にずれ動いています。
なお、サンアンドレアス断層では太平洋プレートが北西方向に、北アメリカプレートが南東方向にずれています。この断層は北西から南東方向にあるので、確かにずれ動いていますね。
サンアンドレアス断層は2つのプレートが横ずれ断層で接しています。このような断層のことをトランスフォーム断層と言います。
断層の近くでは地震が多発します。サンアンドレアス断層も例外ではありません。実際2018年にもロサンゼルスで大きな地震がありました。