夏に乾季が生じる理由は「その地域が亜寒帯低圧帯から亜熱帯高圧帯に入るから」。冬に乾季が生じる理由は「その地域が赤道低圧帯から亜熱帯高圧帯に入るから」と説明されます。その状況を図を用いながら解説します。
地理の授業で雨季・乾季について悩んだり、アフリカでヌーの群れが乾季になると草原を求めてワニのいる川を渡ったりする原因は、すべてはこのページで解決されると思います。
気圧帯と地軸の傾き
地球には4つの気圧帯が北半球・南半球にそれぞれ存在します。下の左図では北半球のみを表しました。この気圧帯は一年中存在しています。
低圧帯では気圧が低く、周りから空気が流れ込みます。流れ込んだ空気がぶつかり上昇気流に変わり、はるか上空で循環して下降気流となります。この下降気流が吹き降ろす地帯は高圧帯となります。
地表で空気の流れは風となります。下の左図の緑で囲んだ部分だけを右図に示しました。高圧帯から低圧帯に風が吹いている様子が分かります。
しかし、地球は自転しているので「コリオリの力」と言う力が働きます。そのため風が斜めに吹きます。実はこのようにして偏西風や貿易風が発生します。
低圧帯のでは雨が降り、高圧帯では乾燥する
低気圧では周りから空気が流れ込んで、風がぶつかり上昇気流となります。上昇気流は上空で冷やされ雨を降らします。一方で高気圧では周りに風が流れていくので、上昇気流が生じません。そのため雨は少なくなります。
また赤道低圧帯が発生する原因は太陽にあります。赤道低圧帯は太陽光が地表に垂直に当たる地域に発生します。太陽光が垂直にあたると熱エネルギーをより多く受けます。暖められた空気や水蒸気は上に移動し、上昇気流となり空気を上空に吸い取ってしまうので低気圧となります。
地軸の傾きで気候帯が移動する
この気圧帯は季節が変わると全体的に少し移動します。地軸が傾いていることが原因です。地軸が傾いていると太陽光が垂直にあたる地域は下図のように季節によって変わります。6月には雨の降る赤道低圧帯は赤道より北に、12月は南に移動していることが分かります。このように気圧帯全体が移動します。
気圧体が移動しているというより、地球が移動して太陽の当たる角度が変わっていると言った方が合っているかもしれません。
それでは上の図を参考にして地域別に雨季と乾季を確認していきます。
赤道直下(地点ア)
地点アでは季節が変わっても雨の降る赤道低圧帯から抜けないので年中雨が降ります。上図では地点アの上空は夏でも冬でも雨が降っていることが分かります。気候区分では熱くて雨が降るAfとなります。
緯度10°付近(地点イ)
地点イでは夏に赤道低圧帯の影響で雨が降りますが、冬を見ると赤道低圧帯を抜けて、亜熱帯高圧帯に入るため雨が降っていないことが分かります。つまり、夏に雨季で冬に乾季となります。気温については赤道に近いので熱帯になります。雨の降り方は乾季が存在するためAwとなります。
緯度20°付近(地点ウ)
地点ウでは夏に赤道低圧帯の影響で雨が降りますが、冬を見ると赤道低圧帯を抜けて、亜熱帯高圧帯に入るため雨が降っていないことが分かります。地点イと同じで夏に雨季、冬に乾季です。気温については緯度が上がり温帯となります。雨の降り方は冬に乾季なのでCwとなります。
緯度30°付近(地点エ)
地点エでは季節が変わっても乾燥した風が吹き下ろす亜熱帯高圧帯に入っているため砂漠気候となります。気候区分ではBW、BSとなります。
緯度40°付近(地点オ)
地点オでは夏に亜熱帯高圧帯に入るため雨が降っていないことが分かります。冬には亜寒帯低圧帯に入り雨が降ります。つまり夏に乾季で冬に雨季となります。気候区分ではCsとなります。
気候区分の配列は基本的に次のようになります。
ただし、北半球でアフリカ大陸にはCw気候がない。など例外はありますが、基本はこの考え方で対応できます。
緯度を覚える必要はあるか
緯度を使って説明しましたが、特に覚える必要はないと思います。赤道やサハラ砂漠の位置は誰でもわかるので、それを基準に気候区分の上下関係を覚えておけば対応できます。
※仮想大陸は必要か
仮想大陸は教科書や資料集に載っていると思いますが、特に覚える必要はないと思います。山脈を無視したり、大陸をくっつけたりしてあくまでも仮の大陸です。仮想大陸は、本物の地球を基に考えられているので、元が分かっていれば、仮想大陸の問題が出ても対応できるでしょう。