熱帯に属する地域は最寒月平均気温が18℃以上でとにかく暑いところです。赤道近くに広く分布し、雨の降り方によって次のように分けられています。
Af 熱帯雨林気候 | 一年中大量の雨 |
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Am 熱帯雨林気候 | 夏季モンスーンにより多雨 |
Aw サバナ気候 | 冬季にかなり乾燥 |
AmはAfとAwとの間だと思ってください。Afよりは安定して大量の雨が降らず、冬に乾燥しているとも言い難いところとなります。では熱帯気候を東南アジア、南米、アフリカと地域別に見ていきます。
東南アジアの熱帯気候
Afは赤道直下
上図の赤い部分がAf地域となります。Af地域は気温が高く、降水量が年中多い地域となります。このような地域は赤道直下に限定されます。インドネシア、シンガポール、マレーシアは、まさに赤道直下に国です。
赤道直下では、季節によらず太陽が地表を温めるので上昇気流が発生し雨が降ります。赤道低圧帯の影響を受けているともいえます。
Amは夏のモンスーンが当たる
オレンジの部分がアジアのAmの地域、赤の矢印は夏のモンスーン、青の矢印は冬のモンスーンを表しています。図を見ると夏の南西からのモンスーンが当たる地域にAmが位置していることが分かります。
モンスーンは季節風ともいい、季節によって吹く方向が変わります。日本付近では夏は南東の風、冬は北西の風となりますが、東南アジアでは夏は南西の風、冬は北東の風となります。モンスーンの方向は図のようにフィリピンを境に変わるので覚えやすいと思います。
AwはAf、Am以外の場所
Aw地域は赤道から少し離れた地域に分布しています。緯度で言うと南北ともに10°~20°付近になります。オーストラリアにもAwが分布していたりすることがポイントになるかと思います。
Aw地域は基本的に冬乾燥します。なぜなら、冬は赤道低圧帯を抜け、亜熱帯高圧帯に入るためです。
南米の熱帯気候
赤道直下はアンデス山脈に近い方がAf
赤道直下では基本的に雨が多くなります。ただし、南米の場合は赤道直下にAf気候とAm気候が存在します。アフリカの場合は湿気が多い海に近い地域がAfとなりますが南米では逆に海から遠い地域がAfとなっています。その理由を解説します。
赤道付近では貿易風の影響で東から西に風が吹いています。さらに南米大陸の東岸は沖合に暖流(アンティル海流)が流れて湿気を運びます。
湿気は風に乗って大陸内部へ運ばれます。この湿気が上昇気流に運ばれると雨になるのですが、南米大陸の赤道直下のアマゾン川流域は平坦なため、素通りします。
湿気がアンデス山脈に達すると山の斜面を駆け上り、上昇気流となって雨を降らします。そのため、上図のように、雨の多いAf気候はアンデス山脈に近い地域に分布しています。
赤道直下で、アマゾン川河口に近い方がAm気候となります。Am気候は乾季は無いが、Afより雨は少ない中間型です。Af、Am地域に大量に降った雨はアマゾン川となります。
Awは高原地帯とリンクしている
Aw気候は乾季がある熱帯気候と言うことになります。Awは基本的に赤道から少し離れた地域に分布します。緯度で言うと南北10°~20°です。また、標高が高いと海から届く湿気が減ってしまって降水量が減ります。
と言うことを考えて上図を見ると南米では北半球ではギアナ高地、南半球ではブラジル高原がAw気候となっていることが分かります。
リャノ、カンポ
Aw気候はサバナ気候と呼ばれます。このサバナはサバンナとも呼ばれ、草原とバオバブやアカシアのように乾燥に強い樹木がまばらにあります。
実はサバナとはアフリカの草原のことを言います。南米ではAwの草原をリャノと言ったりカンポと言ったりします。
リャノは南米大陸で北半球のAw地域の草原のことを言い、オリノコ川が目印となります。カンポは南米大陸で南半球のAw地域の草原のことを言い、ブラジル高原が目印となります。
アフリカの熱帯気候
アフリカ大陸は赤道直下にAf気候、その周りはAw気候と簡単な配置となっています。Am気候は降水量がAfより少なくAwより多い気候です。シエラレオネやリベリアといった海に近い地域がAm気候となっています。
マダガスカルは熱帯、乾燥帯、温帯が分布する
アフリカ大陸の東にはマダガスカル島があります。マダガスカル島の東岸には暖流が流れています。さらに貿易風の影響もあり、島の東側は湿気が大量にもたらされAf気候となります。
島の中央部は標高が高いため気温が下がり温帯が見られます。また夏は熱帯低圧帯、冬は亜熱帯高圧帯となり冬に乾季があるCw気候と言うことになります。
島の南西部には砂漠が見られます。亜熱帯高圧帯に入るため降水量が少なくなります。島の中央部に山脈があることも雨が少ないことに影響しています。