プランテーション農業は熱帯〜亜熱帯で盛んな農業スタイルになります。プランテーション農業では国と農作物の組み合わせパターンを問われやすいです。そこでプランテーション農業の仕組みだけでなく、国ごとの作物も覚えるようにしましょう。

しかし、教科書の薄い説明と、分厚いデータブックだけでは、重要な場所が分からず、苦手意識を感じてしまう人は多いです。そこで、この記事ではプランテーション農業において重要なポイントだけを詳しく説明して行きます。

植民地時代に完成したプランテーション農業の仕組み

まずプランテーション農業の仕組みについて解説します。大航海時代に欧米諸国は熱帯・亜熱帯地域の国々を植民地にしました。さらに、豊富な資金力を用いて植民地を広域的に開発し、「国際的に価値が高い農作物」が大量に栽培するようになりました。

国際的に価値が高い農作物とは支配国である欧米諸国では栽培に適していないけれども、需要がある作物で、具体的にはコーヒーや茶などがあります。労働力は奴隷を使ったほか、現地住民を安い賃金で働かせるなどしたため、生産にかかるコストを大幅に削減することができました。

第二次世界大戦後に植民地は次々と独立していきましたが、プランテーション農業は現在も続いていることがしばしばあります。なぜならプランテーション農業以外に産業がないような国の場合、それに頼らざるを得ないからです。

プランテーション農業が盛んな地域、農作物の代表例

プランテーション農業で重要なのは、国ごとの栽培作物を理解することになります。そこで、代表的な農産物について順番に説明していきます。また、覚え方のコツについて、ゴロ合わせなども利用しながら確認していきましょう。

コーヒー生産はブラジルやベトナムで盛ん

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資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

コーヒーの栽培には霜が降りない温暖な気候と、年間1200ミリの豊富な雨量が必要です。そのため、コーヒーの主な産地は北緯25度から南緯25度の地域に集中しています。これを「コーヒーベルト」と呼んでいます。

2019年現在の生産地世界ランキングはブラジルが世界第1位で、次いでベトナム、コロンビア、インドネシアが続いています。語呂合わせの「ブラジルのベトベト濃いコーヒー」で覚えましょう。

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ブラジルはコーヒー以外にも多種多様な作物を生産している農業国なので、「ブラジル=コーヒー」とは言えません。ベトナムやコロンビアを目印にするのがよいでしょう。

ちなみにブラジルがコーヒーの産地になったのは19世紀からです。当時はアフリカから輸入された奴隷を使って栽培していました。

カカオはコートジボワールが圧倒的に世界1位

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資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

カカオはチョコレートやココアなどの原料です。2019年現在の生産地世界ランキングはコートジボワールが他国を引き離して世界第1位、次いでガーナ、インドネシア、ナイジェリアが続いています。

コートジボワールでカカオの生産が始まったのは19世紀末です。コートジボワールの生産量が圧倒的ですが、近年ではインドネシアも生産量を伸ばしています。

ちなみにカカオの栽培自体はプランテーションよりも零細農家による栽培が一般的です。なぜならカカオは陰樹といって、大きくなるまでは他の木の陰で育てなければいけないため、他のプランテーション作物のようにまとめて大量に栽培するのに向いていないからです。

他国のプランテーション農業では大企業によって経営されていることが多いですが、カカオは個人農家による経営と言う違いがあります。

アブラヤシはパーム油の原料でナイジェリアが原産地

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資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

アブラヤシとはパーム油の原料です。パーム油は世界で最も多く消費されている植物油で、大豆や菜種油といった他の植物油と比べて成長が早い、生産性も高い、価格も安いと優れた特徴を持っています。

私たちの生活の中で、パーム油が使われている場面をあまり想像することができないかもしれませんが、ポテトチップスやカップラーメンなどに使用されています。

2019年現在の生産国ランキングはインドネシアが世界第1位、次いでマレーシア、タイ、ナイジェリアが続いています。

かつてはマレーシアが世界一でしたが、2006年にインドネシアがマレーシアを追い抜きました。1位と2位のインドネシアとマレーシアで世界のアブラヤシ全生産量の85%を占めています。

生産国ランキングが後述する天然ゴムと似ているため注意が必要です。区別をするためには原産国のナイジェリアが入っているときはアブラヤシと覚えるのがよいでしょう。

天然ゴムはタイで生産が盛ん

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資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

天然ゴムはもともとアメリカ大陸原産の植物ですが、イギリスがブラジルから種を盗み出して、イギリスの植民地があったマレー半島にもたらしました。現在ではマレー半島など東南アジアが主要生産地です。

現在は石油から製造する合成ゴムも存在しており、天然ゴムと合成ゴムの生産比は4:6で、合成ゴムの割合が高まっています。しかし過酷な環境で使われる航空機用タイヤや穴が開くことが許されないコンドームなどは天然ゴムが必須であるため、現在も天然ゴムの価値は衰えていません。

生産された天然ゴムの約7割がタイヤゴムに使われていることからもわかるように、ゴムの需要が急増したのは自動車のタイヤが普及し始めた19世紀末からです。

2019年現在の生産国ランキングは第1位がタイ、次いでインドネシア、ベトナム、インドが続いています。これら4か国で世界の総生産量の約4分の3を占めています。

なお、アブラヤシの生産ランキングと間違えやすいかもしれませんが、「ゴムのタイヤは何インチ?」という語呂合わせで覚えてしまいましょう。

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上記ゴロは完全オリジナル作品になります。無駄な文字や無関係な内容を含まない、上手なゴロを思いついたと思います(自画自賛)。

茶はケニアやスリランカが目印

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資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

茶の生産は中国が圧倒的で世界の全生産量の約3割、茶園面積に至っては世界の約6割を占めています。
ちなみに緑茶や紅茶、烏龍茶は同じ茶葉になります。違いは品種の違いではなく製造方法(発酵度合い)の違いです。そのため、緑茶や紅茶など全てを含んで「茶の生産量」と計算されます。

茶は昔から中国での生産が盛んでした。中国と交易するようになったイギリスは中国から茶を輸入、国内でお茶を飲む習慣が生まれました。イギリスは国内で増大する需要を満たすため、19世紀前半に当時植民地だったインドで、19世紀末にはセイロン島(現スリランカ)でも生産を始めました。

2019年現在の生産国ランキングは第1位が中国、次いでインド、ケニア、スリランカと続いています。
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ただし中国やインドは国土が広く、他にも生産国ランキング内に入っていることが多いのであてになりません。ケニアやスリランカを目印にするほか、語呂合わせの「茶を1ケース」で覚えましょう。

バナナはエクアドルやフィリピンが目印

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資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

バナナの2019年現在における生産国ランキングは世界第1位がインド、次いで中国、インドネシア、ブラジルです。茶のところでもお話したように中国、インドはさまざまな作物で生産国ランキングに入っているためあてになりません。

ブラジルも農業大国なので同様です。エクアドルやフィリピンはバナナの生産が目立つのでこれらの国を目印にしましょう。

バナナは19世紀後半にアメリカの企業が中南米へ進出しプランテーションで生産が始まりました。20世紀にはフィリピンへも拡大されました。プランテーション農業のおかげで、バナナは先進国でもっとも安価な果物の一つになっています。

またホンジュラス、グアテマラ、パナマといったバナナプランテーションが進出した中南米の国々では、アメリカ企業が政治にまで影響力を及ぼしており、そういった国々は皮肉を込めて「バナナ共和国」と呼ばれています。

プランテーション農業による環境問題や森林破壊

プランテーション農業の発達により、先進国の人々はバナナや茶などを安価に手に入れられるようになりましたが、一方で問題もあります。

まずプランテーションの農地を切り開くために熱帯林が破壊される問題です。森林減少により地球温暖化が進みますし、保水力の低下は洪水を引き起こします。熱帯林にしか住めない動植物が絶滅することで生物の多様性も失われてしまいます。

特に熱帯雨林の中には、泥炭湿地林と呼ばれる二酸化炭素を大量に貯蔵している森林があります。泥炭湿地林を破壊すると二酸化炭素を大量に大気中に放出してしまうことになってしまいます。

また農薬や化学肥料を多用することで水質が汚染されます。このほかにも連作による農地の砂漠化、大規模灌漑による塩害なども問題となっています。

モノカルチャー経済の問題点

モノカルチャー経済とは一つの商品に依存した経済のことを指します。プランテーション農業は単一の作物を大量に栽培するため、モノカルチャー経済に陥りやすいです。

モノカルチャー経済にはどんな問題があるのでしょうか。まずプランテーション作物のほとんどは主食ではないことが挙げられます。プランテーション農業をしている国は、本来自分たちのために作らなければならない米などの食料に代わって商品作物を作っているため、食料自給率が低い傾向があります。

普段はプランテーションで栽培した商品作物を販売した利益で米などの食料を購入しているのですが、後述するように価格が暴落すると食料が買えず、飢餓が発生する可能性があります。

プランテーション農業の作物は国際市場で価格が決まります。時に価格は乱高下するため、価格が暴騰したときはよいのですが、暴落した際には深刻なダメージを受けることになります。収入が暗転しておらずバランスが悪い経済であるといえます。

そしてモノカルチャー経済に依存するとなかなかそこから抜け出すことができません。モノカルチャー以外の他の産業を育てるためには資金が必要で、その資金を得るためにはモノカルチャーに頼るしかないからです。このため一度モノカルチャー経済に陥ると悪循環に陥ってしまう傾向があります。

フェアトレード運動の代表例

フェアトレード運動とは、労働者が適正な賃金を受け取り、安全で衛生的な労働環境が守られるようにすることをいいます。プランテーション農業は現地での労働力を安価に買い叩くことで安い商品を作り出していました。しかしそれに対して疑問を唱えたのがフェアトレード運動です。

フェアトレード運動にはさまざまなものがあります。代表的なものをいくつか挙げると、まず製品に対する国際フェアトレード認証ラベルがあります。これは国際フェアトレードラベル機構が定めるフェアトレード基準を満たした製品に貼ることができるラベルです。

次に団体に対するフェアトレード認定があります。これは事業活動全体がフェアトレード基準を満たしている必要があります。

製品に対するフェアトレードですと、自社が扱う製品のうち一部だけがフェアトレードでも、その製品だけが基準を満たしていれば大丈夫なのですが、団体に対するものだと、すべてがフェアトレードでなければならないので、製品に対するフェアトレードよりもハードルが高いといえます。

その他に各企業独自のフェアトレードがあります。スターバックスやイオンなどが販売しているフェアトレードコーヒーがこれにあたります。

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