家畜を育てる牧畜として放牧、移牧、遊牧と似た名前の方法がありますが、これらは違いがあります。それは移動の仕方です。移動する理由は水を得るため、牧草を得るためなどです。

放牧

放牧は家畜を移動させずに同じところで育てます。一年中同じところで家畜を育てられるということは、飼料が豊富・牧草が育つための雨が降る、牧草を育てるための肥料も充実しているという条件が必要となります。

代表例

フィードロットは肉牛に試料を大量に与えて太らせ、大量の肉を生産する方法で特にアメリカで発達しています。基本的にフィードロットは柵のなかに牛を閉じ込めて育てます。つまり移動しません。

ここでオーストラリアの放牧を確認してみましょう。オーストラリアでは水が一年中得られるので移動しません。羊は牛よりも乾燥に強いのでより内陸でも飼育可能です。こうした特徴を図に示すと以下のようになります。

なお、降水量の多い東海岸では牛の放牧が盛んですが、内陸部では井戸水が豊富なグレートアーテジアン盆地でも牛の放牧が行われます。一方で羊は乾燥に強いため、内陸部でも放牧が行われます。

遊牧

遊牧は家畜を連れて水平方向に移動します。ツンドラ気候や乾燥気候では牧草を求めて季節ごとに決まった場所に移動します。

モンゴルの遊牧民族

モンゴルは内陸にあるため雨が少なく、砂漠気候です。遊牧民族たちは雨が降る地域へ家畜とともに移動しながら生活しています。その際用いるのがモンゴルではゲル、中国ではパオと呼ばれる移動式のテントです。

トナカイの遊牧

ツンドラ地域ではトナカイを家畜として遊牧をしています。冬は寒さ・雪の影響で牧草が得られないので移動します。

サンタクロースのようにトナカイを移動手段としても使うし、さらに食用にもするし、毛皮でコートも作ります。そのような遊牧民族としてノルウェーのサーミ、カナダのイヌイットなどが有名です。

高山地帯の遊牧

チベット高原ではヤク
アンデス山脈ではリャマ・アルパカ

移牧

移牧は家畜を連れて垂直方向に移動します。

アルプス山脈の移牧

アルプス山脈では氷河が削ってできたU字谷の上にはアルプと呼ばれる草原があります。
夏場に家畜をここで育ててチーズを作ります。冬は麓に下りてくるという方法です。

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