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三角州:三角形だけではない

 

 
三角州は川によって運ばれた土砂が河口付近に溜まってできた地形です。三角州はデルタとも呼ばれます。それはギリシャ文字のデルタ「凵vに形が似ているからです。例えばドナウ川の三角州をドナウデルタと言うこともできます。

 

川によって運ばれた土砂によってできる扇状地がありますが別物です。扇状地は山から平地になる地域に土砂がたまり、三角州は河口付近に土砂がたまって形成されます。

 

 

いろいろな三角州の形

円弧状三角州

鳥趾状三角州

カスプ状三角州

 

 

 

円弧状三角州

三角州が海に面する海岸線がコンパスで描かれたように円弧のような形の三角州です。上空から見た形はまさに三角で基本的な三角州です。
代表例:ナイル川(エジプト)、レナ川(ロシア)、ニジェール川(ナイジェリア)

 

鳥趾状三角州(ちょうしじょうさんかくす)

鳥趾状とは鳥の足のような形ということです。もはや三角ではありませんが、土砂が河口付近に溜まるという形成過程は他の三角州と全く同じです。鳥趾状三角州が形成される原因として、川によって運ばれてくる土砂の量が多く、海の波による浸食作用が小さい、また海底の勾配が緩やかということが挙げられます。
代表例:ミシシッピ川(アメリカ)

 

カスプ状三角州

カスプ状とは尖っているという意味です。カスプ状三角州が形成される原因として海の波による浸食作用が大きいからです。川によって運ばれた土砂が海の波によって削り取られ、河口部分が尖るのです。
代表例:テヴェレ川(イタリア)

 

三角州が形成されるためには

三角州は土砂が河口付近に堆積して形成されます。そのため三角州の形成には土砂が川を十分に流れてくる必要があります。ではどのような地域で三角州が形成されやすいのでしょう。

 

それは川が新期造山帯から流れてくる場合、その河口に三角州が形成されます。新期造山帯は比較的新しくできた山脈で急峻です。そこに川が流れることで山肌が削られ、大量の土砂が流れていきます。

 

一方、川が古期造山帯から流れてくる場合、その河口に三角州は形成されにくく、エスチュアリーが形成されやすいという特徴があります。古期造山帯はすでに浸食を十分受けてなだらかになり、土砂を供給できないので三角州は形成されにくいです。

 

日本は環太平洋造山帯に属しているので川によって運ばれる土砂が豊富で三角州が形成されやすい地域です。一方、ヨーロッパはウラル山脈、ヘルシニア山系などの古期造山帯を源流とする川が多いので、三角州は形成されにくい地域ということになります。

 

しかし、例外的にライン川は新期造山帯のアルプス山脈から流れてくるため、土砂が豊富に流れてきて河口部にもりもり堆積し三角州を形成しています。

 

ライン川の河口はオランダにあります。三角州地帯は一般的に平坦で低い土地です。オランダも国土の半分近くが海抜1m以下の土地が広がっています。さらに干拓によって国土を広げたため、国土の1/4が海より低い土地となっています。この干拓地はポルダーと呼ばれます

 

国土が海面より低いため、オランダは大雨、高潮による洪水の被害を受けやすい地域です。そこで大規模な堤防を作って、洪水を防いだり、風車によって水を排泄しています。風車は偏西風によって回転します。

三角州の土地利用

三角州は水田が多い

三角州の地図-三重県雲出川(外部リンク:地理院地図)

 

三角州は水田として利用されることが多いです。稲を育てるためには水を貯めなければなりません。三角州の土壌は水持ちが良く、標高差が小さい平地なので簡単に水をためることができるからです。水持ちが良いとは、水はけが良いの逆。つまり水が土壌に染み込みにくい状況のことです。三角州は水はけが悪いと言っても同じ意味です。

 

三角州は河川によって運ばれた土砂が堆積して形成された地形です。山から削られた土砂には大小さまざまな大きさがありますが、三角州は河口付近に存在し、そこまで運ばれてくる土砂は粒が小さい砂です。一方、ごつごつした大きな岩は三角州までは運ばれず、山地が平地になる所に堆積し、扇状地を形成しています。

 

都市・村落が発達することもある

三角州の地図-広島市(外部リンク:地理院地図)

 

三角州は川によって運ばれた土砂が堆積した地域なので川に囲まれています。そのため水を得やすい地域なので都市・村落が形成されやすいです。水田も家の近くに作れて、便利です。ところが川に囲まれていると言うことは洪水が起こりやすい地域でもあります。そのため堤防などを作って対策をとっています。

 

広島市は三角州に形成された大都市です。三角州地帯に干拓・埋め立てにより土地を拡大して発展してきました。埋め立てされた地域の地図の特徴として海岸線が直線、直角の部分が見られます。

 

広島市は原爆を投下され、被害を受けた都市です。三角州は平坦な地域なので原爆の爆発が市内一面に広がりました。また、火傷を負った人々は次々と三角州を形成する川へ飛び込みました。

 

何故原爆を突然紹介したかというと、次の詩を紹介しようと思ったからです。この詩は見事です。原爆の悲惨さはもちろんのこと、原爆の落とされた広島市は三角州であること、三角州はデルタと呼ばれることまで教えてくれます。

 

 「永遠のみどり」
ヒロシマのデルタに
若葉うづまけ

 

死と焔の記憶に
よき祈よ こもれ

 

とはのみどりを
とはのみどりを

 

ヒロシマのデルタに
青葉したたれ

 

原民喜『原爆小景』より

 

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