三角州が出来る理由、種類、土地利用をわかりやすく解説!

三角州は中学校の社会でも学習する内容であるため、地理の基礎的な内容です。しかし、人によっては三角州と扇状地の違いなどが理解できず、苦手意識を持っている場合があります。

三角州と扇状地は別物であるため、絶対に間違ってはいけません。そこで、ここでは三角州についてイラストを用いわかりやすく解説します。

三角州ができる理由をイラストで簡単に解説

三角州とは川によって運ばれた土砂が河口付近に溜まってできた地形です。三角州は三角形にできることが多く、ギリシャ文字のデルタ「⊿」に形が似ているため「デルタ」とも呼ばれます。例えばドナウ川の三角州をドナウデルタと言うこともできます。

では、三角州がどうやってできるかを詳しく確認していきましょう。まず、河川の上流では水流により山肌が削られます。これにより土砂や砂が運ばれ、河口付近に到達します。

河口付近では河川の流速が遅くなるため、砂がたまりやすい環境となります。そのため、上流からの砂が徐々に堆積し、中洲が出来上がります。その様子をイラストで表すと以下のようになります。

三角州ができる理由を簡単に表現すると「上流から運ばれた土砂が河口に堆積して形成される」ということになります。

逆に言えば、上流から土砂が運ばれない場合は三角州が形成されることはありません。ここで具体例を挙げて確認しましょう。

イギリスのロンドンを流れるテムズ川をgoogle mapで確認すると、以下のように河口には三角州は存在しません。テムズ川の河口に三角州が形成されない理由は土砂の供給が少ないことが一因です。

イギリスは氷河期に全体的に氷河に覆われ、氷河による侵食を受けました。その影響で土壌が削り取られ、土砂の少ない土地になってしまいました。そのため、河川に流れる土壌が少なく三角州ができにくいのです。

一方で、フランスを流れるライン川の河口には三角州が形成されています。この川の上流を確認すると新期造山帯のアルプス山脈にたどり着きます。以下はライン川とアルプス山脈の位置関係を表した図です。

新期造山帯では急峻な山が多く、河川により削り取られる土壌も多く存在します。そのため、新期造山帯を源流とする河川は土砂の供給が豊富であり、河口に三角州が形成されやすい傾向にあります。

日本は環太平洋造山帯という新期造山帯に属しているため、土砂の供給が豊富な河川が多いです。そのため、日本では全国各地で三角州ができています。

三角州の種類:代表的な3つを解説

三角州は河口できる三角形の中洲であることを説明しました。しかし、三角形以外の形を持つ三角州も存在するため注意が必要です。ここでは以下の3つの種類の三角州について説明します。

・円弧状三角州

・鳥趾状三角州

・カスプ状三角州

これらは河川から供給される土砂の量や波による浸食作用の影響で異なる形状を示します。そして、こうしたポイントは地理のテストで問われやすい分野であるため、名前だけでなく形成過程も含めて覚えるようにしましょう。

また、ここではそれぞれの三角州の代表例とともに三角州の種類・違いについて解説します。

鳥趾状三角州:代表例はミシシッピ川

河川が供給する土砂が鳥の趾(あし)のように堆積している場合、鳥趾状三角州(ちょうしじょう三角州)と呼ばれるようになります。その代表例はアメリカのミシシッピ川の河口にあります。

鳥趾状三角州の特徴は堆積部分が海の方へ突き出していることです。こうなる原因は波の浸食作用が弱く、堆積部分が削られにくいからです。そのため河口付近では土砂が堆積し放題であり、ジワーと広がるようにランダムな方向へ巣が伸びていきます。

また、海底の勾配が緩やかな場合も、すぐに土砂が堆積するため鳥趾状三角州となります。要は「土砂が堆積するスピード>土砂が侵食されるスピード」という関係のときに鳥趾状三角州ができやすくなります。

円弧状三角州:代表例はナイル川

三角州の海に面する海岸線がコンパスで描かれたように円弧のような形になると円弧状三角州(えんこじょう三角州)と呼ばれるようになります。その代表例はエジプトのナイル川の河口にあります。

円弧状三角州ができる海岸では、沖合を流れる波によって三角州の先端部分が削り取られます。そただ、上流からの土砂の供給が豊富にあるため、削り取られたところが再び砂で埋まってしまいます。

このように、波による浸食作用と河川の運搬作用のバランスが取れている場合、円弧状三角州が作られます。要は「土砂が堆積するスピード=土砂が侵食されるスピード」という関係のとき円弧状三角州ができやすくなります。

円弧城三角州のその他の代表例として、レナ川(ロシア)、ニジェール川(ナイジェリア)などがあります。

カスプ状三角州:代表例はテベレ川

三角州の海に面する海岸線が河口付近を頂点にとがるようになるとカスプ状三角州と呼ばれるようになります。カスプ状とは尖っているという意味であり、カスプ状三角州の代表例はイタリアのテベレ川の河口にあります。

カスプ状三角州が形成される原因として海の波による浸食作用が大きいことが挙げられます。川によって運ばれた土砂が海の波によって削り取られます。ただし、河口に近い部分では土砂が堆積します。

そのため、全体的に見ると河口部分が尖って見える形状になります。要は、「土砂が堆積するスピード<土砂が侵食されるスピード」という関係のときにカスプ状三角州は形成されやすいです。カスプ状三角州の例として静岡市を流れる大井川などがあります。

三角州の土地利用

三角州は河川によって運ばれた土砂が堆積した土地であるため、比較的平坦な土地が広がります。こうした土地は様々な用途で使われます。

例えば、田舎であれば水田として利用されることが多く、都市部であれば住宅地となることが多いです。このように三角州の土地利用は様々なパターンがあります。ここでは国内や海外の代表的な三角州について確認していきます。

三角州は稲作に最適!水田になることが多い

三角州で農業を行う場合、稲作をするのに適しています。稲作をする場合は水田を作り、水を貼らなければいけません。そのためには、水持ちが良く水平な土地でなければ稲作はできません。

「水持ちが良い」というのは「水はけが良い」の逆の意味であり、水分が地面に浸透しにくい土地のことをさします。三角州には細かい粒の砂が堆積しているため、雨が地中に吸収されにくく、水田に適した土地となるのです。

稲作ができる範囲はザックリと北緯50度〜南緯35度と言われています。日本の国土はこの範囲に入るため稲作が盛んです。特に、三角州地帯では大規模な水田が作られ、米が作られています。例えば、以下は三重県の雲出川(くもずがわ)にある三角州の地形図です。

この地形図を見ると、綺麗な三角州を形成していることが分かります。また、地図記号を確認すると水田のマークがたくさんあるため、稲作が盛んに行われている地域であることも分かります。

海外ではメコン川の河口にできたメコンデルタが米の一大産地として有名です。メコンデルタで栽培された米はベトナムにおける生産高の50%を超えています。

・稲作が行われない三角州の例

しかし、稲作を行うには人間が手間をかけて育てなければいけません。そのため、農業に従事する人口が少ない場所では、自然豊かな環境となり動物や植物の楽園となります。その代表例がドナウデルタになります。

ドナウデルタはドナウ川の河口に形成された三角州地帯です。ドナウ川はルーマニアなどのヨーロッパ諸国を流れ、最終的に黒海に注ぐ川です。

ドナウ川の河口では人間の手が加わっていない自然が広がり、多種多様な動物が生息しています。こうした自然を保護するためにユネスコの世界自然遺産に登録され有名になりました。

また、ロシアのレナ川の河口も三角州を形成しています。しかし、流域は北半球でも有数の極寒地域であり、9月〜5月の7ヶ月間は川が凍結してツンドラ状態になるため、農業は行われていません。

さらに、ナイジェリアのニジェール川では三角州地帯で偶然にも油田が発見されたため、無数の油井が掘られました。こうした例もあるため「三角州=稲作」とは限らないことに注意しましょう。

三角州に大都市ができる代表例

前述の通り、三角州は稲作に適した土地であるため、三角州は食料を得やすい地域であると言えます。また、川が近くにあるため、水の確保も容易にすることができます。こうした土地は生活の便が良いため、人口が集中するようになりました。

その結果、交通が整備されたり、ショッピングモールなどの商業施設が建設されたり、さらに便利な地域に発展します。こうしたプロセスから三角州には大都市が形成されやすいという特徴もあります。

例えば、大阪は淀川が形成した三角州地帯にできた都市です。また、海外では長江河口にある三角州地帯には上海などの大都市があり、この三角州には中国総人口の10%が居住しているとも言われています。

三角州で起こりやすい災害

三角州は海に近いこと、標高が低いことなどの要因から洪水などの水難被害を受けやすい地域であると言えます。例えば、ミシシッピ川の三角州地帯に2005年の8月にハリケーン・カトリーナが直撃し多くの家が水没しました。

国内でも大雨が降ったときに川が氾濫して三角州地帯が洪水被害を受けることがあります。こうした災害を防ぐために、三角州地帯の川では堤防を作るなどの防災対策が取られることが多いです。

まとめ

三角州は河川が運ぶ土砂が堆積して形成された土地です。多くの三角州は三角形になるため、デルタと呼ばれますが、様々な種類があります。例えば、円弧状三角州・鳥趾状三角州・カスプ状三角州などがあります。

また、三角州には上流から肥沃な土砂が流れてくるため、農業に適した土地であると言えます。また、水持ちが良いため稲作ができる気候の地域では水田が開発され水田地帯が形成されることが多いです。

中には人口が集中し都市化する三角州もあります。しかし、こうした土地は水害被害を受けやすいという弱点があります。そこで防災のために堤防や防波堤が建設されています。

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