イスラム教の基本
イスラム教はキリスト教と仏教と並ぶ世界の三大宗教のひとつで、世界の人口の20パーセントにあたる12億人が信仰しています。
マホメット(ムハンマド)を教祖とし唯一神である「アッラー」を絶対の神と位置づけ、コーランという教典を基に生活します。
コーランには預言者ムハンマドに下された神の啓示が書かれており、政治・経済・文化面で重要な役割を持っています。
主な信仰と儀礼には六信五行というものがあり人々はそれに従わなければなりません。六信には①アッラー②天使③教典(コーラン)④預言者⑤来世⑥予定があり、五行には①信仰告白②礼拝③喜捨(きしゃ)④断食⑤巡礼があります。また、偶像崇拝を禁じているためキリスト教や仏教における像などは認められていません。
モスクでの礼拝
イスラム教にとってモスクとは五行にも定められている礼拝に欠かせない大切な場所です。神の偉大さと栄光をたたえることを目的とした礼拝は1日5回一定の時間に行われます。それは夜明け前・正午・午後・日没後・夜で、金曜日の正午にはモスクでの集団礼拝があります。また、断食明けの祭りや犠牲祭、雨乞(あまごい)など特別なことにも使われます。
サラ―トとはイスラム教における礼拝のことをいいます。五行のひとつで、礼拝の作法や回数、順序などムハンマドの範例に基づいて事細かに規定されているものです。礼拝の場所は家や職場などでも良しとされていますが、集団の方が望ましいとされモスクで行うことを奨励しています。
礼拝の作法としては、まず身体を浄めます。そしてメッカに向かって立ち神をたたえ、コーランの「開扉(かいひ)の章」を朗唱します。さらに手を膝につけて深く頭を下げて、次に頭を上げる時に両手を高くあげます。二度跪拝(きはい)するのが定められています。
ここで守らなければならないのが次のポイントです。①メッカのカーバ神殿の方角を向く②身を清浄する③定められた時間帯に行う④意思表明を行う⑤男性はひざ丈までの衣服を身につけ、女性は手と顔以外はすべて衣服で覆うことです。以上の5つの点が守られていないと礼拝は無効になります。
モスクでは礼拝をすることで澄んだ心でアッラーと対話します。アッラーの教えを守り賛美し服従を誓いその導きと助けを求めることで、誰でもアッラーの無限の恩恵を受けられると説いています。怠惰な気持ちを退けて厳粛で真剣な気持ちで礼拝に立ちます。
モスクとメッカの違い
モスクとメッカはイスラム教を語るうえで外すことのできない用語です。上記の説明で理解できたかもしれませんが、簡単にモスクとメッカの違いを整理しておきましょう。
モスク | メッカ | |
---|---|---|
どのような場所か | 礼拝をする場所 | イスラム教の聖地 |
場所 | 世界中にある | サウジアラビア |
補足説明 | メッカの方向を向いて礼拝 | ムスリムは一度は訪れるべき場所 |
日本でのムスリム増加
近年、グローバル化が進んだことにより日本に定住し働く外国人が増えています。すると、様々なバックグラウンドを持つ人々が増え、宗教的な理解も必要になります。
私の知人にもムスリムがいて、毎週金曜日は礼拝のため休みを取るという人がいます。その他にもムスリムに考慮した調理法を提供する店が増えたり、メッカの方向を示すアプリなどが開発されたりしています。学校や職場でも宗教に対する理解が必要な時代になったという事です。