インドにはカースト制度と呼ばれる身分制度があります。それは4段階から成り、上から次のように構成されます。
・バラモン(司祭)
・クシャトリア(王侯・戦士)
・ヴァイシャ(商人または平民)
・シュードラ(隷属民)
インドでは現在もこれらを「ヴァルナとジャーティ」と呼び、ヒンドゥー教における身分制度を指しています。このカーストはアーリア人の侵略と先住民族の制服によって生まれたとの説もありますが、諸説あります。
もともとカーストという言葉は、ポルトガル語で(血統)を表す「カスタ」という言葉です。その語源はラテン語で(純粋な物、混ざってはならないもの)を表す「カストゥス」という言葉からきているといわれています。
実は1950年に差別自体は禁止されています。にも関わらず5,000年も続いてきた慣習はそう簡単に崩すことは難しいのです。
現在のカースト制度
現在のカースト制度では、留保制度により公共機関あるいは施設が一定の割合で優先的雇用機会を与えられています。
その割合としては全体の平均15パーセントから18パーセント程度で、これによって学校入学や奨学金制度にも適用されています。
インド社会においてこのカーストの考え方はヒンドゥー教に根差しており、輪廻転生がその根底にあります。
つまり、現在の身分は前世で行ったことの結果であるため、それを受け入れて生きるということです。
そうすることによって、次に生まれたときには高い身分に上がれると信じられています。現在のカースト制度においては、シュードラは農牧業や手工業など生産に従事する一般的な大衆を指すようになり、労働者とも解釈されるようになりました。
むしろ問題なのは、アチュートといわれるどれにも属さない人々の存在で、自分たちのことを「ダリット」と呼んでいます。これは(壊された民)という意味で、このダリットの人権を求める動きが大きくなっています。
インド以外に、ミャンマーやネパールでも一部の民族が身分制度によって差別を受けているのも事実です。宗教や民族によってこうした身分差別が生まれる背景には、一つにはそうした国々が過去に栄えていたという歴史的事実もあります。インドネシアにおけるグディリ王国やマジャパヒト王国などがそうです。