熱帯気候は赤道付近の地域に分布する気候で、ケッペンの気候区分ではアルファベットのAで表されます。さらに雨の降り方により熱帯雨林気候(Af、Am)、サバナ気候(Aw)に分けられます。

熱帯気候の特徴

熱帯気候は1ヶ月の平均気温が常に18℃以上の地域で、降水量が多い地域でもあります。高温多雨の原因を考えると次のような説明ができます。

赤道付近は太陽によって地表付近の空気が温められやすく、上昇気流が発生します。この上昇気流が積乱雲となり雨を降らせます。これはスコールの原因でもあります。スコールは赤道付近の熱帯地域で見られる土砂降りで、午後によく発生します

また、熱帯地域は気温の年較差が小さいという特徴があります。つまり年間を通して月の平均気温がほとんど変動せず、四季はありません。

赤道直下では常夏で降水量も一年中多く、熱帯雨林気候(Af)が多く分布します。赤道から少し離れた地域では雨季と乾季がみられ、乾季のある熱帯気候はサバナ気候(Aw)となります。北半球、南半球いずれの場合も冬に乾季、夏に雨季となります。

またモンスーンの影響を受けるアジア地域や南米のアマゾン川流域では降水量がAfとAwの中間の量で、弱い乾季のある熱帯雨林気候(Am)として分類されます。

熱帯雨林気候(Af、Am)の植生

熱帯雨林気候では文字通り、熱帯雨林が見られます。東南アジアではジャングル、南米ではセルバと呼ばれます。

熱帯雨林は多様な常緑広葉樹、つる植物、着生植物で構成されています。常緑広葉樹とは一年中緑の葉をつけた大きな葉を持つ樹木、つる植物は他の木を支柱にして伸びる植物、着生植物は他の高い木の幹や枝で育ち、根を土壌におろさない植物を言います。

赤道直下では日射が強いため植物が光合成を盛んに行うことができます。他の樹木より多く光合成をしようとして木は高く育ちます。このような広葉樹が全面的に育ち、地面に到達する太陽光をほとんど遮ってしまます。そのため熱帯雨林の地表付近は鬱蒼(うっそう)としているのです。

河川の河口にはマングローブ林が見られます。マングローブとは海水と川の水が交わる汽水域に生息する植物を指します。普通の植物は海水では育たず枯れてしまいます。それは塩分が主な原因となります。マングローブは枯葉に塩分を蓄積させ、葉を落とすことで塩分を排出する機構を持つので生き残ることができるのです。

このように高温多雨の熱帯雨林気候は多種多様な植物が生息しています。またその木の実を食べる動物、落葉が腐り栄養分が雨に流され育つプランクトンや魚、多種多様な生物も生息しています。

 サバナ気候(Aw)の植生

サバナ気候は冬に乾季があります。サバナ気候では草原が見られ、アフリカではサバンナと呼ばれます。南アメリカのオリノコ川流域ではリャノ、ブラジル高原ではカンポという名前の草原が見られます。また、アカシアやバオバブといった樹木が点在しています。

乾季があるため、シマウマやヌーなどの草食動物は水と草を求めて大移動します。移動の際には川を渡らなければならず、ワニに食べられてしまいます。草原にたどり着くと、その陰にはチーターやライオンが隠れています。このような食物連鎖が形成されています。

土壌

熱帯の土壌はラトソルという痩せた赤色の土壌が見られます。高温のため地中の水分が蒸発する際に、水分とともに栄養分が地表に移動します。さらにスコールなどの土砂降りで地表の栄養が流されてしまい、栄養が不足した痩せた土壌となります。これがラトソルです。

また地中から鉄分やアルミニウムも水の蒸発に伴い地表に移動します。このような成分が固まった物をラテライトと言い、ラテライトがボーキサイトに変わります。ボーキサイトはアルミニウムの原料となる鉱物です。

ラトソルのように気候の影響を受けた特徴のある土壌を成帯土壌と呼びますが、気候の影響よりも母岩(その地域の土壌の元となった岩石)の影響を反映している土壌を間帯土壌と呼びます。間帯土壌には気候は関係ありません。地層の問題となります。

間帯土壌の代表としてブラジル高原のテラローシャインドのデカン高原のレグールがあります。これらは過去の火山活動で火山岩が堆積し、それが風化した土壌を形成しています。

火山岩は水はけのよい肥沃な土壌であるという特徴があります。火山による岩石は噴火後、急に冷えて固まるため、火山ガスや空気を中に閉じ込めたまま固まります。つまり、スカスカな岩石からできた土壌なため、水はけが良いということになります。これを生かしてブラジルではコーヒー栽培、インドでは綿花栽培が盛んです。

農業

熱帯の高温多雨という環境では多様な植物が育ちますが、人の食糧を栽培するには土壌の栄養も必要となります。しかし、熱帯のラトソルは痩せており栄養が十分ではありません。

そこで焼畑農業が伝統的に行われてきました。熱帯雨林を焼き払い、その灰を栄養としてタロイモ、ヤムイモ、キャッサバなどを作ります。育てた作物を自分たちで食べる自給的農業です。何度か作物を作ると畑の栄養がなくなるため別の場所を焼き払い、新たに焼畑農業を行います。自給的農業の焼畑で小規模であれば熱帯雨林は自然に再生し再び焼畑が行える森林となります。

ところが近年は熱帯雨林を大規模に伐採してアブラヤシ(パーム油の原料)やトウモロコシを栽培し、それを商品として売る企業的農業や先進国へ輸出するプランテーション農業が熱帯雨林で行われています。

これは自給的な焼畑農業より広大な森林を伐採するので、森林の再生能力は失われてしまいます。そして、森林破壊をもたらし生態系が崩壊すると懸念されています。オランウータンはマレーシアやインドネシアの熱帯雨林に生息していますが近年は熱帯雨林の減少とともに野生のオランウータンは減少しています。

栽培される農作物について、ブラジル高原ではコーヒー栽培インドのデカン高原では綿花栽培が盛んです。またアジアでは米の二期作、三期作。雨の多いインドのアッサム地方やダージリン、スリランカ、ケニアでは茶。他にもサトウキビ、バナナ、ココナツ、カカオ、ゴム、落花生など多種多様な作物が作られます。高温多雨という環境の恩恵といえます。

家畜はアジア地域で水牛が多く飼育されています。水牛は沼地を好んで生息するため水田作業や運搬に使えます。また乳はミルクやバターとして使われ、糞は肥料に、肉も食べられるという非常に優れた家畜です。

牛の頭数はインドが世界一です。インドはヒンドゥー教を信仰する人が多く、牛は神聖な生物とされるため牛肉は食べません。ところが、水牛に関しては別物とされているため水牛の肉は食べられ、輸出も行います。

その他

熱帯地域には風土病が数多く存在します。風土病とはある地域限定で起こる病気です。特にマラリアは現在でも蔓延しており、マラリアが産業の発展に悪影響を及ぼしているとも言われます。マラリアは蚊によって媒介される感染症です。

近年では人の移動が活発になったため、熱帯地域限定の感染症が日本でも広がる可能性が増えてきました。2014年には東京でデング熱が発生したことで話題になりました。またエボラ出血熱も流行しました。熱帯の風土病も無視できなくなっています。

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