世界各地において民族紛争が発生しています。センター地理では深い内容までは問われないが、それぞれの紛争の概要は知っておくといいです。

連邦国家 多数の民族によって構成され定る場合、それぞれの民族に州・共和国などの支分国が与えられ、それらを単一の主権のもとに統合して形成された国家。
同化政策 国家が少数民族に対して、または本国が植民地民族に対して、自己の生活様式や思想、文化などに同化させようとする政策。
民族自決 各民族が、自己の政治組織または帰属を、ほかの民族や国家によって干渉されることなく、自ら任意に選択し決定すること。
民族浄化 ある特定の民族だけを保護、反映させるために、そのほかの民族を排斥、または虐殺すること。

カシミール紛争

カシミール地方カラコルム山脈の南にあり、標高は2000mで高山気候のために過ごしやすい気候の地域です。この地域はインドに帰属するか、パキスタンに帰属するかが問題になり印パ戦争につながりました。

そもそもパキスタン、インド、バングラデシュは元々イギリスの植民地であり、1947年の独立の際にヒンドゥ教徒が多い国としてインドが、イスラム教徒つまりムスリムが多いくにとしてパキスタンとバングラデシュが独立しました。

カシミール地方はインドとパキスタンの境界に位置し、そこを統治していた藩王はヒンドゥ教、しかし住民の多くはムスリムであったため、インドに帰属するか、パキスタンに帰属するかで問題が生じたのです。現在も停戦ラインを挟んで衝突が続いています。

チベット暴動

ラマ教を信仰するチベット民族は現在、中国の自治区を形成しています。中華人民共和国が建国された翌年にそれまで実質的に独立国として存在したチベットを中国の領土にすると宣言し、軍隊を派遣しました。

このことにより大規模な暴動が起こり多数の死者、負傷者を出しました。それまで漢民族はほとんどいませんでしたが、中国が漢民族に同化させる入植政策を進め、人口の半数が漢民族になっています。

ラマ教の最高支持者ダライ・ラマとは観音菩薩の化身として崇められ、亡くなると魂が他の人間に移り、再びこの世にダライ・ラマが誕生すると信じられ、現在のダライ・ラマは14世です。

暴動が起きた当時ダライ・ラマ14世は20代で、身の危険を感じてインドに亡命しました。またそれ以降一度も故郷であるチベットには戻ってません。しかし、ダライ・ラマの住居である「ポタラ宮」にはラマ教とたちの参拝が今なお続いています。

 フィリピンのイスラム教徒独立運動

フィリピンはスペインやアメリカの植民地だった影響で公用語は英語、宗教はキリスト教です。お隣の国インドネシアはイスラム教です。

インドネシアに近いフィリピンのミンダナオ島でイスラム教徒が多く、フィリピンからの独立を求めて武力紛争が起こりました。フィリピンのミンダナオ島などに住むイスラム教徒のことをモロ族と呼びます。

東ティモール分離独立運動

東ティモールという国はポルトガルの植民地だった影響で宗教はキリスト教です。その後1976年にイスラム教国家であるインドネシアに合併しました。1999年に住民投票で東ティモールとして独立することが決まりました。

パレスチナ問題

アラブ人のイスラム教徒が居住していたパレスチナの地に、シオニズム運動によりユダヤ人が、1948年にイスラエルを建国しました。周辺のアラブ諸国と紛争が繰り返され、いまなおパレスチナとイスラエルの間でテロ活動と報復攻撃などが絶えません。

クルド人独立運動

トルコ・イラク・イラン・シリアなどの国にまたがる地域にクルド人という人々が住んでいます。

彼らは独自の国家を持たない民族です。移動の際に国境線を超えたり、それぞれ国の規則などが違ったり、各国の少数民族として迫害を受けたりしてクルド人にとっては不便です。そこで独立したいのですが、領土を守りたいイラクやトルコなどの軍事弾圧が行われています。

キプロス問題

キプロスは地中海にある島国です。島の北部にはトルコ系の住民が、南部にはギリシャ系の住民が多いです。トルコはイスラム教、ギリシャはキリスト教なので国の南北で衝突が起こり、内戦状態となっています。

チェチェン共和国独立問題

世界最大の面積の国家であるロシアは連邦制をとる国家で、46の州・9の地方・2の市・21の共和国・1の自治州・4の自治管区から構成されます。

その中の一つにチェチェン共和国があります。チェチェン共和国はイスラム教徒が多いため、ロシアからの独立運動を行いました。ロシアはそれに対して弾圧し、イスラム武装勢力によるテロなどが起きました。

北アイルランド問題

1921年にアイルランドがイギリスから独立したとき、イギリスから移住したプロテスタントが多い北アイルランドはイギリスの領土のままになりました。

北アイルランドに住むカトリックのケルト系アイルランド人はアイルランドとの結合を望んでいます。領土をめぐってテロ活動が起きました。2005年に武装解除が発表されました。

ベルギーの言語紛争

ベルギーはフランスとオランダの間にある国です。現在ベルギーの南部ではワロン語(フランス語)が公用語として使われ、北部ではフラマン語(オランダ語)が公用語として使われます。

かつてワロン語圏の経済的・支配的勢力が強かったのでワロン語が公用語でしたが、フラマン語圏の勢力が向上したため、対立の要因となっています。ちなみに首都のブリュッセルでは公用語はワロン語とフラマン語の両方ということになっています。

バスク独立運動

スペイン北部のピレネー山脈地方にバスク人という民族が住んでいます。彼らはスペインから独立するために過激派のバスク人がテロ活動をしています。

ユーゴスラビアの解体

ヨーロッパのアドリア海に面して、様々な民族が混在する地域がユーゴスラビア連邦という形で一つの国として存在していました。チトーという独裁者がこの国を統治していましたが彼の死後、地域間での対立が悪化し、7つの独立国家に分かれました。

スロベニア、クロアチア、マケドニア、ボスニアヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、コソボ

カナダ・ケベック問題

カナダのケベック州ではフランス系住民が8割を占め、カトリック教徒が多い。カナダは元々イギリスの植民地なので英語、カトリック文化と対立し、ケベック州の独立運動が活発になりました。そこでユニオンジャックの入った国旗を現在の国旗に変え、二語主義、二分化主義を進めています。

ルワンダ内戦

アフリカのルワンダとブルンジという国の周辺にはツチ族とフツ族とう民族が暮らしていてかつてツチ族がフツ族を支配し、王国を建設していました。

2つの共和国が独立して、王政が廃止されたことでフツ族が政権を握ることができました。これに納得できないツチ族は隣国に亡命しました。しかしツチ族とフツ族は共和制の下で、はじめから犬猿の仲というわけではなく、隣り合った地域に住んでいたり、結婚もしていました。

隣国に亡命していたツチ族は武力でルワンダの政権を奪うことを狙っていてルワンダに侵入し内戦に発展しました。1994年4月6日フツ族出身のルワンダ大統領と同じくフツ族出身のブルンジ大統領を乗せた飛行機がロケット弾により撃ち落されました。

当時唯一の娯楽であったラジオの放送で、「大統領の死はツチ族の攻撃だ。ツチ族を殺せ、さもないとフツ族が殺される。」と放送されたため、これを聞いたフツ族の住民が近所に住むツチ族を刃物やこん棒で虐殺しました。

当時ツチ族かフツ族かを見分けるための身分証明カードのようなものがあったので、車の検閲のような雰囲気で車を止めさせ、ツチ族ならその場で車から下し、道端で殺すというようなことも発生し、ルワンダ内のツチ族100万人のうち数十万人が殺され残りは国外に脱出しました。

ビアフラ戦争(ナイジェリア)

石油資源に恵まれたニジェール川河口付近のイボ族が、1967年に連邦からの分離、独立を唱えてビアフラ共和国を立てました。内戦となり旧ソ連とイギリスは連邦側を、アメリカとフランスはビアフラ側を支援して介入し、ビアフラ側は多くの餓死者を出し、1970年に降伏しました。

欧米の国の戦いが、ナイジェリアの中で現地の人たちを犠牲にして行われました。武器を売って欧米国の利益をだし、自分たちは戦争に参加しないという形で内戦は進んで行きました。

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