民族と人種の違い:有名な世界の民族、人種を紹介

地理の授業を受けている学生であれば、人種や民族について学習しなければいけません。しかし、日本に住んでいる場合、周囲にいる人のほとんどが同一の人種・民族であるため、実感がわかない人が多いです。

そもそも、人種と民族は明確に区別して考えなければいけません。これらを混同して覚えてしまっている場合、センター試験や定期テストで大きく失点してしまう可能性があります。

そこで、ここでは人種や民族の違いについて説明し、代表的な人種・民族についても取り上げます。

民族と人種の意味の違いを簡単に説明

人間を大まかなグループに分類するとき、民族や人種で分類することが多いです。しかし、民族と人種には意味の違いがあります。これらの違いを簡単に説明すると、以下のようになります。

民族とは言語や宗教など社会的な特徴が共通の人々を意味します。同じ民族の人々は同じような生活様式を持っているため、連帯感が生まれやすいです。

これは恋愛でも同じですが、共通点の多い相手であれば、親近感が湧きずっと一緒にいたいと思うはずです。これと同じように、言語や宗教が共通であれば、「全員が家族」のような絆が生まれ、同じグループでまとまって生活していることが多いです。

なお、民族と聞くと、アイヌ民族、首長族などのように少数民族をイメージすると思います。しかし、私たちも日本語を話し、日本に住む大和民族の一員です。このように、言語や宗教などの文化が共通であるグループを民族と呼びます。

一方で、人種は骨格・皮膚・毛色など見た目の特徴によって分けられたグループになります。見た目が異なるということは遺伝子が異なるということになります。

例えば、白人(コーカソイド)と黒人(ネグロイド)では肌の色が異なるため、異なる人種であるといえます。

見た目が異なるということは、差別の原因となりやすいです。学校でも「ぽっちゃり」「メガネ」など他人と異なる特徴を持っている人は仲間外れにされやすいです。そのため、人種差別が様々な場所で起こりました。

当然ながら、見た目が異なっても平等であり、優劣をつけることはできません。そのため、現在では人種差別は否定され、人種差別を起こさないような考え方が広まっています。

ここで重要なポイントは民族と人種は必ずしも一致しないということです。白人全員が同じ言葉を使い、同じ宗教があるわけではありません。住んでいる地域によって、異なる言語を話し、それぞれの宗教を信仰しています。そのため、民族と人種を混同してはいけません。

世界の代表的な民族の紹介

世界には様々な民族が存在しており、正確な民族の数はわかっていません。そこで、世界的に有名であり、地理で出題される可能性の高い民族について、いくつか取り上げて紹介します。

オーストラリアの先住民族:アボリジニ

オーストラリアの先住民族としてアボリジニが有名です。彼らは狩猟民族であり、ブーメランを使って狩りをする文化があります。他にもエアーズロック(アボリジニの言葉でウルル)を聖地としたり、独自の音楽などの伝統文化がありました。

例えば以下の楽器はで「ディジュリドゥ」と呼ばれる楽器であり、シロアリに食わせたユーカリの木から作られています。

アボリジニは約1万7000年前にオーストラリア大陸で生活し始めた人類の祖先であると言われています。

しかし、18世紀後半(1700年代後半)にイギリスによる植民地支配が始まりました。さらにオーストラリアで金鉱が発見され、多くのヨーロッパ人が一攫千金を夢見てオーストラリアに移住してきました。

このとき、もともとオーストラリアに住んでいたアボリジニーは、ヨーロッパから入植してきた白人から迫害や人種差別を受けました。さらに、19世紀後半には政策としてアボリジニーより白人を優先する「白豪主義」という考え方が広がりました。

これにより、アボリジニーの人口は激減してしまいました。現在ではこうした差別は人権侵害であるため、白豪主義は廃止されアボリジニーの文化が尊重されるようになっています。

オーストラリアにはアボリジニーだけでなく中華系の民族など様々な背景を持つ人々が生活しています。そのため、複数の民族・人種などが存在し、互いに異文化を認めようという多文化主義の考えが広まっています。

ヨーロッパの民族問題:バスク人の独立運動の歴史

ヨーロッパには白人(コーカソイド)が多いですが、実際には多くの民族によって構成されています。例えば、スペインだけでもスペイン人、カタルーニャ人、ガリシア人、バスク人など異なる民族が同じ国に生活しています。

スペインの公用語はスペイン語ですが、カタルーニャ地方ではカタルーニャ語、ガリシア地方ではガリシア語、バスク地方ではバスク語が地方公用語として使われています。ちなみに、バスク地方では特に一体感が強く、以下のようにオリジナルの国旗も作っています。

こうした複数の民族が同じ国にいる場合、様々な民族の政治家によって国の方針を決めなければいけません。しかし、文化や背景が異なるため、うまくいかないことが多く民族紛争につながりやすいです。

これは同じクラスに女子グループが複数ある場合、「文化祭で劇の誰をヒロインにするか」といった問題を決めるときなど女子グループ間で喧嘩のタネになってしまうことと全く同じ原理です。

民族が異なることでイザコザが起きてしまうなら、「同一民族で独立してしまおう」とする運動が起こります。このとき、テロや戦争に発展することがあります。

スペインのバスクでは実際に独立運動が起こり、スペインに対してテロ行為を起こしたこともありましたが、独立には至りませんでした。現在では過激なテロ行為を行う組織が解体されています。

ユーゴスラビアは民族独立紛争で崩壊した

なお、ヨーロッパにおいて民族独立運動が成功し、国が解体した例もあります。それがユーゴスラビアです。ユーゴスラビアは民族の違いにより、国家が分裂し、以下の国が生まれました。

  • スロベニア
  • クロアチア
  • ボスニア・ヘルチェゴビナ
  • セルビア
  • モンテネグロ
  • コソボ
  • マケドニア

アフリカで民族紛争が起こりやすい理由

アフリカは民族紛争が特に多い地域として有名です。アフリカで民族紛争が起こりやすい理由としてヨーロッパの宗主国が領土を分け合うとき、ヨーロッパの都合で適当に国境線を引いてしまったことが挙げられます。

上図を見ても国境線が直線的な部分が多いことに気づきます。このように、先住民のことはあまり考慮されなかったので、同じ民族の居住区を国境が分断したり、仲の悪い民族と同じ国になったりと様々問題が出てしまいました。

国として存在するためには統治者が必要となりますが、どの民族の人がトップに立つかによって争いが生じやすくなるのです。

三大人種:コーカソイド、モンゴロイド、ネグロイド

ここまでは文化的な違いによってグループ分けをする「民族」について説明してきましたが、ここからは見た目(形質)によってグループ分けをする「人種」について解説します。

人種の種類はたくさんありますが、人口の多い3種類の人種が有名です。この3種類の人種を三大人種と呼びます、

コーカソイド(白色人種)は高緯度地域(ヨーロッパ)に多く分布

世界で最も人口の多い人種はコーカソイド(白色人種)です。また、ヨーロッパに多いことからヨーロッパ人種とも呼ばれます。

その他の特徴として、目が青い、金髪などの特徴があります。こうした特徴は遺伝子の突然変異により生じたと言われています。

皮膚の色が薄い原因はメラニン色素が少ないからです。メラニン色素は紫外線から体を守ることができますが、高緯度地域では日照時間が短いため、メラニン色素がない人でも生き残ることができたのです。

モンゴロイド(黄色人種)は日本などアジアに分布

肌の色が黄色から黄褐色の人種をモンゴロイドと呼びます。日本人の多くはモンゴロイドに分類されるため、特徴については理解しやすいと思います。

なお、モンゴロイドは日本・アジアだけでなく、インドネシアやアメリカ大陸の先住民も含まれます。

人種は「どこに住んでいるか」「どのような言語を使うか」など関係ありません。見た目(形質)によって分類されるため、住む場所が異なっても姿が似ていれば同一人種として分類されます。

アメリカの先住民にモンゴロイドが多い理由として、かつて中国やモンゴルに住んでいた人類が、ベーリング海峡を渡りアメリカに移住したことにあります。彼らの子孫が現在でも生き残っているため、アメリカでもモンゴロイドが見られます。

なお、現在アメリカに暮らしているコーカソイド(白色人種)はヨーロッパから移住した人々の子孫なのです。

ネグロイド(黒色人種)はアフリカやアメリカに分布

肌の色が黒っぽい人種をネグロイド(黒色人種)と呼びます。また、発音の違いでニグロイドと呼ばれることもありますが、意味は同じです。

ネグロイドの主な分布は「サハラ以南のアフリカ」と言われています。要するにサハラ砂漠より南の地域になります。

このような地域では日照時間が長く、紫外線が強いとなります。紫外線は浴びすぎると害になるため、メラニン色素が多い人種が生き残りやすくなりました。メラニン色素は紫外線を吸収し、人体への害を緩和する働きがあるのです。

なお、ネグロイド(黒色人種)はアフリカだけでなく、アメリカ合衆国や中米諸国に多く分布しています。

これはヨーロッパの植民地支配が強かった時代、アフリカ出身の黒人が船に積み込まれてアメリカに連れてこられました。そこで奴隷として強制労働をさせられた歴史があり、その子孫が現在でもアメリカなどに残っているのです。

人種の違いは人種差別の原因となる

見た目が違う人たちが集まると、差別が生まれてしまいます。人種の違いで優劣はありませんが、歴史的に白人の文化が進んでいたため、黒人が差別の対象とされることが多くありました。

例えば、南アフリカ共和国はもともと黒人が住む国だったにも関わらず、後から入植してきた白人に対して人種隔離政策を行いました。

少数の白人に都合が良い法律を作ったり、居住地域も分け他のです。この政策をアパルトヘイトと呼びます。

このとき、反アパルトヘイト運動を行った人物としてネルソンマンデラが有名です。黒人の彼はアパルトヘイトに反対したため、罪に問われ終身刑の判決を受けました。白人が政治や司法を司っていたため、平等ではありませんが、当時としては仕方のない結果です。

ネルソンマンデラは27年間刑務所で暮らした後に釈放されました。その後、議員となりアパルトヘイト廃止の活動を行いノーベル平和賞を受賞しました。さらに南アフリカ共和国の大統領となりアパルトヘイトは廃止されました。

まとめ

人類をグループ分けするとき、言語や宗教など社会的な文化によって分けられたグループを「民族」と呼びます。一方で、肌の色や髪型など見た目の特徴(形質的特徴)によって分けられたグループを「人種」と呼びます。

世界各地に様々な民族が存在し、異なる民族同士で民族紛争が起こることがあります。例えば、スペインのバスク地方やユーゴスラビアの崩壊などが代表例となります。

また、人種の違いがあると人種差別が起こることがあります。例えば、黒人は大航海時代から奴隷として扱われるなどひどい歴史がありました。

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