地理選択の学生の多くはセンター地理を受験し、それぞれの大学の二次試験に進みます。しかし東大などを除き、二次試験に地理科目が必要な大学・学部はほとんどありません。
そのため、センター地理で満点が取れたとしても二次試験で配点の大きな科目で点数を稼がなければ、大学合格という最終目標を達成することができません。そのため、理系学生は地理科目の効率的な勉強を知る必要があります。
地理の勉強時間をできるだけ少なくし、数学や英語など配点の大きな科目に費やす時間を増やすことが必要です。私も現役で国立大学の薬学部薬学科に合格できましたが、地理の勉強はほとんどしませんでした。その代わりに苦手だった数学に力を入れました。
ここでは、センター地理で100点を取る方法ではなく、地理の勉強時間をできるだけ少なくし、大学合格につながる勉強法を説明します。
大学合格にセンター地理で100点は必要ない
なんとなく受験勉強をしている学生には良くあることですが、最終的なゴールを考えずにひたすら勉強する人がいます。しかし、これでは非効率な勉強法につながってしまいます。そこで、まずは志望校の大学入試における配点を確認することが重要です。
例えば、以下は2020年度における「千葉大学理学部物理学科」の前期試験の配点になります。
センター試験と二次試験の合計点は1350点になります。地理の配点は50点なので全体の3.7%を占めるだけです。これをわかりやすくするため、配点割合を円グラフに表現しました。
このように考えると、センター地理を本気で頑張ったとしても合格にはつながらないことがわかるはずです。千葉大学理学部物理学科に合格するためには数学と理科(物理)を頑張る必要があります。
また医学部医学科を目指す受験生は、1点でも多く点数を取りたいと考え地理の勉強を本気で頑張っているのではないでしょうか。しかし、医学科を受験する場合でも地理で100点を目指すと非効率的です。
例えば、センター試験の比重が最も大きい徳島大学医学部医学科の入試科目は以下のようになっています。総合計点が1300点に対して地理の配点は50点しかありません。
要するに、地理の配点は全体の3.8%になります。そのため、二次試験の科目となっている数学や英語を頑張った方が合格に繋がります。
そのため、センター地理で満点を取る勉強は効率的な受験勉強とは言えません。このように理系学生であれば志望校の配点を確認してから勉強の比重を決めることが合格への近道になります。
センター地理で100点は難しすぎる
そもそも、センター地理で100点を取ることは難しすぎるので、諦めた方が良いです。その理由は毎年のセンター地理の傾向を理解すればわかります。
センター試験では平均点が60点前後になるように設計されていますが、標準偏差は科目によって大きく異なります。標準偏差とは得点のバラツキのことです。
標準偏差が大きい科目は点数のバラツキが大きく、標準偏差が小さい科目は点数のバラツキが小さくなります。
過去のセンター試験の平均点と標準偏差を確認すると地理Bは標準偏差の小さい科目であることがわかります。例えば、平成25年度の地理B、世界史B、日本史Bの平均点と標準偏差は以下のようになります。
平均点 | 標準偏差 | |
地理B | 61.88 | 13.91 |
世界史B | 62.43 | 21.89 |
日本史B | 62.13 | 19.48 |
これを正規分布すると仮定してエクセルでグラフ化すると以下のようになります。
このように、地理Bのグラフを見ると100点取っている受験生はほとんどいないことがわかります。一方で、世界史や日本史では地理に比べて100点を取れる可能性は高いです。
このような傾向は毎年同じなので、地理は本気で勉強しても100点を取ることは難しい科目です。難易度から考えても地理で100点を目指すのは非効率的であることがわかります。
受験勉強で地理のノートはまとめる必要なし!
地理の勉強法について学校の先生に質問をすると「白地図に書き込みなさい」「地図帳に書き込みなさい」などとアドバイスを受けることがあります。しかし残念ながらこのような方法は効率的な勉強法とは言えません。
理系の受験生が地理に費やせる時間は限られています。時間が無限にあるなら以下のように白地図をダウンロードしてまとめることもできますが、圧倒的に時間の無駄です。
白地図に色を塗ったり、イラストを書いたりすると時間がかかってしまい、二次試験科目の勉強時間を減らすことになってしまいます。そのため、地理の勉強内容をノートに綺麗にまとめることはやめましょう。
伝説の参考書:「山岡の地理B教室」はどうか?
地理の参考書として「山岡の地理B教室」が有名です。これは東進ハイスクールの山岡先生が出版した本であり、ロングセラーの参考書として知られています。
この参考書は初心者向けにやさしく地理の知識を解説してくれる内容なので、高校1年生でも簡単に読むことができます。しかし、受験生にとっては若干物足りないかもしれません。その場合は「地理Bの点数が面白いほどとれる本」などを試すと良いです。
このような参考書は2000年代から評価されていました。しかし、今は動画で勉強する時代です。文章を読んで理解するのが得意であれば参考書での勉強は有効ですが、文字を読むと眠くなってしまうようなタイプの受験生はスタディサプリがオススメです。
また、「山岡の地理B教室」を購入するには1,188円かかります。「地理Bの点数が面白いほどとれる本」は1,620円です。これらの参考書を両方購入すると2,808円もかかってしまいます。スタディーサプリは月額980円なので経済的です。
スタディサプリを利用して効率的な勉強をする
センター地理は満点の必要はなく、二次試験で必要な科目の勉強の方が重要であることを説明しました。しかし、地理を全く勉強しなくて良いわけではありません。短時間で得点に結びつく勉強をしなければいけません。
そこで、地理の勉強を効率的に勉強するにはスタディサプリを使うようにしましょう。スタディサプリを使えばスマホで地理の授業を見ることができます。しかも、講義は一流講師によって行われ、1.5倍速や2倍速で再生できます。
要するに、質の高い授業を短時間で見ることができるのです。このような勉強方法は効率的な地理の勉強が必要な理系受験生にとって最適です。
スタディーサプリでは、どの授業を見るか自分で選択できるため、苦手な部分がある場合は重点的に学習することができます。また、同じ講義を何度も繰り返し見ても問題ありません。
スタディサプリで地理の勉強を速攻で終わらし、数学や英語の勉強時間を増やすことで大学合格の可能性は上がります。
系統地理→地誌の順に勉強すると効率的
地理で必要な暗記量は世界史や日本史に比べると少ないと言われています。確かに地理は暗記の少ない科目ではありますが、思考力を問われます。
例えば、「同緯度に位置するロサンゼルスと香川県は、夏に雨が少ないです。その理由は同じですか?」という意図の問題が雨温図やグラフとともに出題されます。
ちなみに、答えは「ロサンゼルスはCs気候であり夏に寒気があるため。香川県は中国山地と四国山地に挟まれ、モンスーンの影響を受けにくいためと理由は異なる」となります。
基本的に地理の試験で「解いたことがある」と感じられる問題はほとんどありません。しかし、授業で習った知識をつなぎ合わせると答えられます。これが思考力を問われるという意味になります。
一方で、世界史では「仏教を守護したことで知られるマウリヤ朝の第3代王は誰?」のように授業で習った内容がそのまま問題として登場します。ちなみに答えは「アショーカ王」です。これは思考力というより暗記力と問われています。
地理の勉強を効率的にするには暗記ばかりやっていてはダメです。必要な情報を頭の中で整理しておかなければ問題を解くときにパニックを起こして間違ってしまうからです。そこで、暗記より理解することに重点を置いて勉強しましょう。
その際、勉強する順番は「系統地理→地誌」の順にすると良いです。系統地理とは気候区分や地形など場所に関係なくまとめて学習する分野です。例えば、「ケッペンの気候気分でCs気候は夏に乾季がある」といった内容になります。
系統地理が地理を勉強する上で基礎知識となります。系統地理をある程度勉強できたら地誌の勉強に移りましょう。
地誌は地域ごとに気候や産業の特徴を勉強する分野です。このとき系統地理の知識が役に立ちます。例えば、「ロサンゼルスの夏は晴れが多く、雲ひとつない青空が広がります。その理由としてロサンゼルスはCs気候に属しているからです」と考えられるようになります。
こうして世界中の地誌を勉強できれば、あとは問題演習を中心とした勉強になります。センター試験の過去問や予備校が作成した予想問題などをときましょう。問題演習を繰り返すことで、問題形式のパターンがわかり得点に繋がります。
まとめ
理系学生が地理の受験勉強をするとき、時短や効率化が必要不可欠です。地理をセンター試験でしか使わない場合はトータルで考えると地理の配点が少ないためです。そこで、地理の勉強時間を減らして数学や英語の勉強に時間を費やしましょう。
ただし、地理を全く勉強しなくて良いわけではありません。効率良く点を稼ぐための勉強が必要になります。そこで、スタディサプリを利用すれば有名講師による授業を1.5倍速で見ることができます。
動画で勉強をするときは系統地理→地誌の順で学習すると効率的です。それが終わると問題演習を繰り返しましょう。そうすれば短時間でセンター地理をマスターできます。