旅の情報〜地理の世界から〜センター試験や旅行業務取扱管理者の勉強、独学で人気資格を取得|北海道、キタキツネ、エキノコックス、寄生虫、多包条虫

エキノコックス症:北海道でキタキツネに餌付けしてはいけない理由

 

 

キタキツネは主に北海道で見られるキツネです。北海道では道路や観光地などでも姿を見せることがあります。

 

道端で遭遇したら、かわいいので餌をあげたくなりますが、実はキタキツネに近づくことは避けた方が良いのです。

 

なぜなら、キタキツネが持つ寄生虫によってエキノコックス症という病気になる可能性があるからです。

 

北海道に生息するキタキツネの30%から50%が寄生虫に感染しているというデータもあります。

エキノコックス症とは

キタキツネの小腸で成虫に育つ多包条虫(たほうじょうちゅう)(Echinococcus multilocularis)という寄生虫の卵をヒトが摂取するとエキノコックス症は発生します。多包条虫はサナダムシの仲間です。

 

この多包条虫の卵はキタキツネの糞に含まれています。例えば、キタキツネの体に糞が付いていて、それが手に付着し、卵がヒトの口から体内に侵入する。このような経路でキタキツネから寄生虫がヒトに侵入します。

 

この多包条虫の卵を口にすると小腸で孵化し、幼虫がヒトの肝臓に移動します。肝臓のなかで幼虫が袋を作ってその中で分裂して増殖していき、肝疾患を引き起こします。

 

エキノコックス症に感染した後、肝機能障害などの症状が表れるまでには10年〜20年かかります。症状が現れてからの治療では手遅れとなり完治が難しくなります。

キタキツネはエキノコックス症にはならない

多包条虫の生活環(ライフサイクル)

キタキツネの糞に含まれている多包条虫は卵の状態です。この卵を含んだ糞を野ネズミが食べます。するとネズミの小腸で卵が孵化し、小さな幼虫になります。この幼虫がネズミの臓器で増殖します。

 

次に、多包条虫が臓器に寄生しているネズミをキタキツネが食べます。キタキツネの小腸で幼虫が成虫となり、卵を産みます。この卵が糞中に排泄されます。一連の生活環を下図に示します。このようにして多包条虫は生きています。

 

 

キタキツネはエキノコックス症にならない

多包条虫の侵入によってヒトはエキノコックス症を発症して苦しめられますが、キタキツネの健康に大きな影響はありません。それは寄生虫の住む場所と時期が異なるからです。

 

キタキツネは寄生虫である多包条虫の成虫が小腸に寄生しています。成虫は大きいので小腸から体内に侵入できません。そのため肝臓などの臓器に侵入せず病気にはなりません。

 

一方、ヒトやネズミは多包条虫の卵を口から摂り、多包条虫の幼虫が小腸で孵化します。この幼虫は小さいので小腸から体内に侵入し、血液やリンパの流れに乗って肝臓などの臓器へ移動します。そこで増殖するので健康に影響が出ます。

 

ネズミの場合は多包条虫の幼虫が臓器に移動しますが、ネズミ自体の寿命が短いため、多包条虫による悪影響が出る前に死んでしまいます。従ってキタキツネとネズミは多包条虫によるエキノコックス症の発症はほとんどありません。

エキノコックス症から身を守る

予防法

エキノコックス症にかからないためには、キタキツネに接触しないことです。ヒトがエキノコックス症を発症するのは多包条虫の卵を口から摂取するからです。つまり、キタキツネに触るだけでは体内に侵入しませんが、汚れた手で食べ物を食べてはいけません。キタキツネに触った際は手洗いをしっかりしましょう。

 

また、エキノコックス症を発症しているヒトから別のヒトに感染すること基本的にありえません。なぜなら、多包条虫は肝臓で増殖しており、肝臓から出てこないからです。

 

北海道以外の地域では多包条虫が寄生するキツネはいません。なので日本ではキタキツネ限定です。ただし、北海道には多包条虫が寄生したネズミが存在していますが、このネズミをペットの犬や家畜が食べると、その糞からヒトへ多包条虫が移動する可能性があります。

 

検査

エキノコックス症は多包条虫が寄生してから症状が現れるまで10年から20年かかり、症状が現れてしまったら完治困難となる病気です。したがって、早期発見が必要不可欠です。

 

北海道に長く住んでいる人、キタキツネに触ったことがある人、北海道でネズミを食べたことがあるペットを飼っている人は、症状が無くてもエキノコックス症の検査をするべきです。

 

検査は血液検査などで行うことができ、早期発見できれば重症となる可能性は低いですが、完治困難な場合もあります。エキノコックス症を予防することが一番大切です。

 

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