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熱帯地域に多い病気−鎌状赤血球病

 

鎌状(かまじょう)赤血球病という病気があります。この病気は主に熱帯出身者に見られる病気です。病気が気候と関連する不思議なケースです。日本人ではほとんど見られない病気なので知らない方が多いかと思います。

 

鎌状赤血球病が発症すると、異常な赤血球である鎌状赤血球が増えて運動した時などに貧血などをおこします。また、鎌状赤血球病は遺伝病と呼ばれます。つまりDNAに変異があり、親から子へ遺伝します。

 

そのため、熱帯地域に行っても感染することはありません。

赤血球の異常

正常な赤血球

鎌状赤血球

 

 

鎌状赤血球病が発症すると丸い赤血球が鎌のように尖ってしまいます。

 

さて、赤血球が尖る原因は赤血球の中に含まれるヘモグロビンというタンパク質が線維状に細長くなってしまうからです。異常な赤血球ができる原因は異常なヘモグロビンにあり、異常なヘモグロビンができる原因はDNAにあります。

 

赤血球の形が変化すると毛細血管に詰まり、その先へ血液を送ることができなくなります。毛細血管が詰まると炎症や痛みを発症します。さらに、赤血球の内部でヘモグロビンが線維状に細長くなるので赤血球の膜を突き破り、破壊します。

 

その結果として全身の赤血球の数が減ります。赤血球は全身に酸素を送る働きがあるため十分に酸素を送れず貧血を起こします。

 

ただし尖った赤血球が生じるには、条件が必要です。
その条件は「赤血球が酸素を持っていない」ということです。酸素はヘモグロビンが繊維状に細長くなるのを防ぐ働きがあります。そのため、例えば運動をしたり、酸素が薄い高所に行った場合など、軽い酸欠状態の時に症状が現れます

 

熱帯で多い理由

鎌状赤血球病がどのような病気なのか分かった所で本題の熱帯に多い理由です。

 

熱帯はマラリアの多い地域でもあります。マラリアは蚊に咬まれることでマラリア原虫という寄生虫が体内に浸入して発症します。マラリア原虫が体内で分裂、成長する過程で赤血球内で生息する時期があります。マラリア原虫が体内で大量に増えることで重篤な症状が出て、適切な処置をしなければ死亡します。

 

しかし、マラリア原虫は鎌状赤血球には生息しにくいという特徴があります。それはカリウムイオンが関係しています。正常赤血球ではカリウムイオンが十分存在し、マラリア原虫にとって都合が良く赤血球内に生息できます。鎌状赤血球ではカリウムイオンが外に漏れだし、マラリア原虫は生息しにくい環境となります。

 

つまり、鎌状赤血球を発症している人はマラリアに耐性があるということになります。マラリアは死亡率が高い病気です。正常な赤血球を持った人はマラリアで死亡し、鎌状赤血球を持た人はマラリアを発症しにくく生き残ります。

 

一般的にDNAに異常がある遺伝病を発症した場合、死亡したり、重篤な障害が発生してそのDNAを子孫に伝えないように自然淘汰されます。しかし今回はDNAに異常がある方がマラリアによる死を避け、子孫にそのDNAが伝わります。そのため鎌状赤血球病は熱帯に多い病気となります。

 

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