砂漠気候は降水量の少ない地域に分布する気候です。具体的には北緯及び南緯20~30°の地域、沖合に寒流が流れる地域、モンゴルなどの内陸地域、フェーン現象が起こるパタゴニアです。ケッペンの気候区分ではアルファベットのBで表され、乾燥の程度により砂漠気候(BW)とステップ気候(BS)に分けられます。

乾燥気候の特徴

乾燥帯は年間の降水量が乾燥限界値未満という基準で分類されます。詳細な計算方法は省略しますが、雨が基準より少ない地域は乾燥帯と決められています。乾燥帯はさらに砂漠気候(BW)とステップ気候(BS)に分けられます。ステップ気候(BS)には夏に雨季があるため、砂漠気候(BW)より年間降水量は多いのです。

乾燥帯は気温の日較差が大きいという特徴があります。昼間は熱く、夜間は寒いということになります。気温の変化は水の存在が大きく影響します。水は岩石より比熱が高く、保温効果があるため海や湖に近い地域では気温変化が少なく、反対に海や湖から遠く乾燥した地域では気温変化が大きくなります。

昼間に太陽光により地表や空気が温められ、夜間は暗くなり温まった地表がすぐに冷めてしまいます。さらに、乾燥帯では昼夜を問わず晴れていることが多く、雲がありません。夜間に雲が無いとき昼間に暖められた地表の熱が宇宙空間に逃げていきやすく、気温が下がる現象が起こります。これを放射冷却と言います。

 植生

砂漠気候(BW)では植物はほとんどは育ちません。植物の生育には水分が必要だからです。ただし乾燥に強いサボテンが見られる場合もあります。一方、ステップ気候(BS)では夏に雨季がある場合が多く、雨季には草原が現れます。冬は乾季となります。

土壌

砂漠気候(BW)の砂漠土

砂漠の土壌は砂、礫、岩石といった土壌で腐植層がないため痩せた土壌となります。腐植層と言うのは落葉や枯れた樹木が土壌の微生物によって分解された有機物です。この腐植層が肥沃な土壌の元になります。

砂漠は降水量が年間を通して少ないため、植物が育たず落葉など無い土壌がやせてしまいます。また、少ないながらも降った雨や、湿気による地中の水分はすぐに蒸発してしまいます。土壌の水分が下から上へ移動することに伴って塩分も地表へ移動しますが、水分だけが蒸発します。これによって地表は塩分が取り残され、強いアルカリ性の土壌となるのです。

 ステップ気候(BS)の栗色土

砂漠から遠ざかるにつれて降水量の多い地域となります。砂漠気候(BW)の周辺部に存在するステップ気候(BS)では栗色土が分布します。ステップ気候では雨季に草が育ち、乾季に枯れます。この草が有機物に分解され肥沃な土壌ができます。

ただし、乾季の乾燥は強いため水分の蒸発で水が下から上方向に移動するため塩分が地表に集まり弱いアルカリ性の土壌となります。砂漠土より肥沃でチェルノーゼム、プレーリー土より痩せている土壌です。

ステップ気候(BS)で半乾燥のチェルノーゼム、プレーリー土

砂漠からさらに遠ざかり温帯、冷帯気候などの湿潤気候との境界付近になると雨季の降水量が多いステップ気候となり半乾燥地と呼びます。半乾燥帯ではチェルノーゼムやプレーリー土が分布しており、この土壌が成帯土壌の中で最も肥沃な土壌となります。

夏の雨季に草原や植物が育ち、冬の乾季に枯れ有機層となり肥沃土になります。実はこの有機層を分解して無機物に変える微生物が存在しますが、冬の寒さで活動が鈍くなり有機層が完全に分解されず残ります。

このサイクルが毎年繰り返され、毎年有機層が増えていくため、地表には厚い有機層が堆積して肥沃土となるのです。チェルノーゼムはウクライナから西シベリアプレーリー土は北アメリカのグレートプレーンズに分布する土壌で、小麦の栽培に最適な土壌となります。

 農業

砂漠気候(BW)の農業

砂漠では降水量が少ないため農業には向いていません。しかし、ナイル川のように熱帯で降った雨が乾燥帯まで流れてくる外来河川の付近ではオアシス農業がおこなわれます。

オアシス農業は河川の水を利用して作物を育てる方法です。オアシス農業は基本的に自給的農業、つまり自分たちで食べるために農業をしています。そのため多種類の穀物、野菜、果物が栽培されます。例えば、米、小麦、綿花、なつめやし。

ステップ気候(BS)の農業

雨季があり、砂漠より降水量が多いので雨季には草原が現れます。この草は家畜の飼料になるため、モンゴルやカザフスタンといった中央アジアでは遊牧が行われます。牧草を求めて移動しながら家畜とともに暮らす生活様式です。

灌漑による農業もおこなわれます。灌漑は降水量が少ないため河川や地下水の水を利用して農業を行う方法です。

アラル海へ流れるアムダリヤ川とシルダリヤ川の周辺では1940年代に大規模な綿花の灌漑農業がおこなわれました。この地域はステップ気候(BS)のため綿花を育てるには降水量が少ない地域です。

そこで川の水を利用して綿花の栽培を行いましたが、過剰な灌漑農業によりアラル海の水が少なくなり、湖の縮小につながりました。さらに、乾季の乾燥が強く、蒸発に伴って水分が地表に移動し土壌の塩害もあり、悪影響が多く残ることになりました。

ステップ気候(BS)で特に降水量の多い半乾燥地の農業

最も肥沃な成帯土壌であるチェルノーゼムやプレーリー土では小麦の栽培がおこなわれます。小麦は炭水化物、脂質、ビタミン、無機質を含む栄養満点な穀物であり、パンや麺類の原料になり、人間の主食となります。

そのため、小麦を育てる土壌は肥沃な土壌でなければならないのです。さらにチェルノーゼムの分布するウクライナから西シベリア、プレーリー土の分布する北米のグレートプレーンズは気温も小麦の栽培に最適であるため大規模に栽培されます。栽培した小麦を商品として売ることで利益を上げる企業的農業がおこなわれます。

その他

ワジ

乾燥地域では雨が少ないですが、ステップ気候では雨季があり豪雨が見られることもあります。雨が降ると雨水は川となり流れていきます。しかし乾季には干上がって涸川(かれがわ)となります。このように、雨が降った時だけ現れ、乾季には干上がっている川をワジと言います。

 外来河川

乾燥気候の周囲には熱帯気候や温帯気候など湿潤な気候があります。雨の多い地域に降った雨が川となり低地へ流れて海に出る過程で、乾燥帯を通過する川を外来河川と呼びます。
源流は湿潤な地域にあり、文字通り乾燥帯の外から流れてきた河川と言うことです。ナイル川、ニジェール川、チグリス・ユーフラテス川がこれに該当します。外来河川は降水量の少ない乾燥帯に大きな利益をもたらします。

 塩湖

乾燥気候にある湖の水は塩分が溶けていることが多く、乾季には完全に干上がって塩が析出している場所もあります。
乾燥地域では水分の蒸発が盛んで、空気中に水蒸気として湖の水分が逃げていきます。しかし塩分は蒸発せず湖に残ります。また既に述べたように乾燥帯の土壌は表面に塩分が集まりアルカリ性土壌であることが多いためその塩分が湖に流れ込むことも影響します。
塩湖の代表例としてイスラエルとヨルダンの国境にある死海、世界最大の湖であるカスピ海などがあります。

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