温帯気候の特徴は日本と海外で大きく異なる、植生や農業の違い

温帯気候は中緯度に分布する気候で具体的には緯度20~40°、ヨーロッパでは北緯60°付近までに分布しています。温帯気候はケッペンの気候区分でアルファベットのCで表され、さらに細かく地中海性気候(Cs)、温暖冬季少雨気候(Cw)、温暖湿潤気候(Cfa)、西岸海洋性気候(Cfb)に分けられます。

温帯気候の気温や降水量は各地で異なる

温帯気候は最寒月平均気温が-3℃以上、18℃未満という基準で分類されます。一年の中で最も寒い月の平均気温がこの範囲にある地域が温帯になるということです。温暖気候では他の気候と比べると、四季が明瞭で人間が暮らしやすい気候です。日本もほとんどが温帯に属しています。

アジアではモンスーンが降水量に大きく影響します。モンスーンは夏と冬で吹く方向が異なる風で、日本では夏に南東の風、冬に北西の風となります。この影響で夏は太平洋側の降水量が、冬は日本海側の降水量が多くなります。アジアのモンスーン地域の温帯は温暖湿潤気候(Cfa)であることが多いです。

ヨーロッパでは偏西風が大きく影響します。偏西風は常に西風で一年中ほぼ一定しています。大西洋からの湿気を季節に関係なく一定して運ぶため降水量の変化は年間を通して少ないという特徴があります。ヨーロッパの偏西風地域の温帯は西岸海洋性気候(Cfb)であることが多いです。

地中海沿岸、サンフランシスコ、オーストラリアのパースなどは夏に乾季があります。これは夏に、亜熱帯高圧帯という一年中雨が少ない、高気圧に入るためです。夏に乾季がある温帯気候は地中海性気候(Cs)です。

この亜熱帯高圧帯に一年中入る地域は乾燥し、砂漠となります。そのため、地中海性気候(Cs)よりやや低緯度の地域は亜熱帯高圧帯の影響を年中受けるため基本的に砂漠です。砂漠の隣にある温帯気候で、夏は砂漠並みに乾燥するということです。

香港、インド北部、ザンビア、パラグアイなどは冬に乾季があります。というより夏に赤道低圧帯やモンスーンの影響で降水量が多く雨季があります。冬に乾季のある温帯気候を温暖冬季少雨気候(Cw)と言います。熱帯の隣にある温帯気候で、夏は熱帯並みに雨が降るということです。

温帯気候の植生

気候区分が共通であれば、同じような植物が育つことが知られています。そのため、植生を観察すれば、その地域の気候が明らかとなります。

しかし、同じ温帯気候でも中海性気候(Cs)、温暖冬季少雨気候(Cw)、温暖湿潤気候(Cfa)、西岸海洋性気候(Cfb)によって植生が大きく異なるため、それぞれの特徴を覚えましょう。

・温暖湿潤気候(Cfa)の植生

針葉樹林と広葉樹林が見られます。針葉樹林はエゾマツ、トドマツなど、葉が細い植物の集まりです。シベリアのタイガは針葉樹林であることを考えると分かるように、寒い地域によく見られます。葉を細くして表面積を減らすことで積雪を防ぎ、寒さにも強い植物です。冷帯に近い地域に分布します。日本では北海道。関東以北の高山。

広葉樹林は葉が広い植物の集まりです。広葉樹林はさらに落葉広葉樹と常緑広葉樹に分けることができます。落葉広葉樹は葉を落として冬の寒さに耐えます。これが紅葉です。落葉広葉樹はブナ、ミズナラ、カエデなどがあり、比較的寒い地域に分布します。日本では関東から東北。西日本の高山。

常緑広葉樹は冬でも葉を落とさない広葉樹です。常緑広葉樹はカシ、ツバキ、クスノキなどがあり葉を落とさなくても冬を越せる比較的温暖な地域に分布します。日本では西日本に多く見られます。

・西岸海洋性気候(Cfb)の植生

落葉広葉樹が見られます。葉を落として寒い冬を超えます。そのため紅葉が見られます。西岸海洋気候はヨーロッパに広く分布しています。紅葉は日本だけでなく、ヨーロッパやカナダでも見られるのです

・地中海性気候(Cs)の植生

地中海性気候は砂漠に近い温帯で、夏に乾季があります。そこで乾燥に耐えられる硬葉樹が見られます。硬葉樹は葉が小さく硬いので乾燥による水分の蒸発を防ぎます。硬葉樹にはコルクガシやオリーブなどがあります。

・ 温暖冬季少雨気候(Cw)

温暖冬季少雨気候は熱帯に近い温帯で夏の降水量が多く、冬は乾季となります。樹林は温暖湿潤気候(Cfa)と同じく、針葉樹や広葉樹が見られます。ただし、熱帯に近く冬の寒さは厳しくないので、葉を落とさない広葉樹つまり常緑広葉樹が多く見られます。

温帯土壌は褐色森林土

温帯地域は褐色森林土が広く分布しています。落葉広葉樹や常緑広葉樹の落葉が分解され有機物の多い腐植層となるため肥沃な土壌となります。色は文字通り褐色です。※常緑広葉樹も葉を落とします。緑の葉が年中落ちます。

・赤黄色土

温暖冬季少雨気候(Cw)や温暖湿潤気候(Cfa)の一部で雨の多い地域では、地表の栄養が洗い流され、肥沃度は褐色森林土より低くなります。熱帯のラトソルに近い土壌です。色は文字通り赤黄色となります。

温帯気候の農業は三大穀物が栽培される

温帯気候は人間が生活しやすい気候です。そのため人口の多い都市が数多く分布します。人口が多いということはそれだけ食料が必要です。

気候が良く、土壌が比較的肥沃だということも加わって、温帯では三大穀物(米、小麦、とうもろこし)が多く栽培されます。アジアでは米、ヨーロッパでは小麦、また家畜の飼料となるトウモロコシはアメリカ、ヨーロッパ、中国で多く栽培されています。

アジア式農業:日本やモンスーン地域では稲作が主流

日本やアジアの気温と降水量は稲作に適しています。稲作を行うには年間で1,000mm程度の降水量が必要ですが、日本や東南アジアではモンスーンによって十分な降水量がもたらされています。

そのため、日本・アジアでは三角州など水もちの良い場所で水田が作られます。例えば、ベトナムを流れるメコン川の河口にある巨大な三角州では大規模な稲作が行われ、この地域だけでベトナムの米の生産量の50%以上が栽培されています。

水田は平地に作られることが多いですが、山間部では以下のような棚田が作られ、原住民が農業をしているケースも見受けられます。

こうした場所では重機が入らないため、手作業が多くなってしまい、労働生産性が低くなる傾向があります。

地中海式農業では乾燥に適したオリーブなどが栽培される

地中海性気候(Cs)ではオリーブ、オレンジやコルクの栽培が盛んです。これらは夏の乾燥に耐えることができるため栽培に適した植物です。普通の植物は、熱さと乾燥で枯れてしまう環境です。以下の写真はオリーブの木が栽培されている様子です。

このように乾燥に強い植物を栽培する農業が地中海式農業です。オリーブの果実から得られる植物油はオリーブオイルと呼ばれ、地中海食には欠かせない調味料です。

地中海に住む人々は他の地域の人と比べて、心疾患や脳血管疾患などによる死亡率が低い事から、食生活やライフスタイルが影響していると言われています。オリーブオイルに含まれる成分が特殊であり、オリーブオイルが健康の秘訣ではないかと考えられています。

 混合農業は家畜も育てるスタイル

ヨーロッパでは家畜の飼料と穀物栽培を組み合わせた混合農業がおこなわれてきました。ヨーロッパの混合農業で作られる作物はドイツの名産品を思い出すと分かります。

ビール、パン、ジャーマンポテト、ソーセージ、大麦、小麦、ジャガイモ、豚です。他にもワインの原料であるブドウや、砂糖の原料であるテンサイ大根が育てられます。

イギリス、ドイツ北部、デンマークなどヨーロッパ北部では氷河期に氷河に覆われ土壌が削られたためやせた土壌となっています。そのため穀物を育てるには栄養が不足しています。

ただ、牧草は育つので酪農が盛んな地域となります。穀物だけでは食べ物に困ってしまうため、家畜も一緒に育てるようになりました。

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