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パーム油と熱帯雨林:オランウータンの森を奪うのは誰?

 

パーム油とは

パーム油は固形状の植物油
パーム油はアブラヤシの果実から得られる油です。植物由来の油であるため植物油に分類されます。植物油にはオリーブオイル、サラダ油などがあります。一方、ラードやバターは動物由来の脂で脂肪に分類されます。

 

植物油と脂肪とでは成分中の脂肪酸の種類が異なるため大きな違いがあります。それは、植物油は常温で液状のものが多く、脂肪は常温で固形状のものが多いということです。オリーブオイル、サラダ油は液状、ラードやバターは固形状というイメージができると思います。

 

ところが、パーム油は常温で固形状なのです。植物由来にもかかわらず、成分に動物由来の油脂に多く含まれる脂肪酸を多く含んでいるのです。

 

パーム油の利用
パーム油が常温で個体である性質がスナック菓子、インスタント食品、冷めてもサクサクした天ぷらなどに利用されています。常温で液状の油で作った揚げ物は時間が経つと衣に油や水分が染み込みベトベトになります。しかしパーム油で揚げると冷めて固まるのでサクサクの状態が続くのです。

 

パーム油を我々の日常で見ることは少ないですが、パーム油が使われた食品は溢れています。馴染みが薄いのは、スーパーなど家庭用としての利用は少なく、業務用の利用が多いということ、食品表示にパーム油と表示されているケースは少なく、「植物油脂」などと一括して書かれているということなどが理由です。

 

現在、パーム油は世界で最も消費量の多い植物油脂となっています。(2013年統計より)

 

パーム油の生産
パーム油の原料となるアブラヤシはアジアの熱帯地域で生産されます。中でもインドネシア、マレーシア、タイが生産量トップ3です。この3カ国で世界のパーム油の8割以上を生産しています。(2012年統計より)

 

これらの国ではプランテーション農業と言う方法でアブラヤシが栽培されています。プランテーション農業は単一種の作物を大規模に生産し、自給的に消費するのではなく商品として海外に輸出する農業です。パーム油を商品としてお金を稼ぐビジネスを行っているのです。そのため世界での需要量が増えるにつれ供給量が増えます。作れば作るだけ買ってくれるためです。

 

アブラヤシを栽培する広大なプランテーション農園は熱帯雨林を伐採し焼き払われた結果得られたものです。マレーシアやインドネシアの熱帯雨林はアブラヤシを生産するために減少しているのです。

 

プランテーションはかつて植民地支配をされていた時代に始まりました。植民地支配をされる前は熱帯地域では自分たちが食べる分だけ作物を作る自給的農業が行われていましたが、ヨーロッパ諸国の技術や資本を導入して輸出用のアブラヤシが大量生産されるようになったのです。植民地支配から独立した現在でもその名残があるのです。

オランウータンの森が減少

熱帯雨林の減少は自然破壊につながる
プランテーション農園は熱帯雨林を伐採しますが熱帯雨林にはオランウータンやトラ、ゾウなどの野生動物が生息しています。しかし、企業としてはアブラヤシを大量に生産して利益を出したいと考えます。熱帯雨林の伐採後に現れる野生動物は邪魔なので殺処分したり、ペットとして売られたりします。

 

オランウータンは熱帯雨林の木の上で生活し、スマトラ島(インドネシア)とボルネオ島(インドネシア、マレーシア)に生息する霊長類で、人間の遺伝子が97%同じという動物で、絶滅が危惧されています。他にも熱帯雨林に生息する多種多様な動物が生息地を奪われています。

 

熱帯雨林を奪われたのは野生動物だけではありません。現地住民は元々の自給自足的に暮らしてきましたが植民地支配がきっかけで変化し、プランテーションで働いてお金を稼いで暮らすようになりました。現地住民は安価な労働力として利点があるのです。またインドネシアは人口が多いので集めるのが容易だったのです。
 
消費者は先進国の我々
悪者は森林を伐採している人とは限りません。プランテーションで働く現地住民も生活のために熱帯雨林を伐採し、仕方なく動物を殺しているのです。森林伐採の原因を考えると、先進国でのパーム油の消費増加→企業が生産量を増やす戦略→現地労働者が働く→熱帯雨林を伐採という流れが出来上がっていることが分かります。

 

解決策としては様々な案が提案されていますが、依然としてパーム油の生産量は右肩上がりです。世界的な規模であるため難しい問題ですが現状を知っておく必要がある問題です。

 

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