地理の勉強において土壌を理解することは非常に重要です。また、単語を覚えるだけではなく土壌が形成される過程や気候との関係についても理解しておかなければいけません。

そこで、ここでは成帯土壌と間帯土壌の違いや特徴について説明します。また、覚え方についても紹介するので活用してください。

成帯土壌は気候帯とリンクして帯状に分布する土壌

主に気候の影響で形成され、気候帯とリンクして帯状に分類する土壌を成帯土壌(せいたいどじょう)と言います。「気候に影響される」というのは、その土地の降水量や気候によって土壌の特性が違うということです。

例えば、雨が降らなければ砂漠になります。雨が降りすぎると栄養が流されて、やせた土地になります。従って熱帯特有の土壌、温帯特有の土壌というように考えることができるのです。それでは順番に成帯土壌を確認してみましょう。

熱帯の土壌:ラトソルは赤くて肥沃度が低い

ラトソルは湿潤な熱帯雨林に分布する土壌の一つであり、赤色であることと、栄養分が少ないことが特徴です

ちなみに。ラトソルの語源はラテン語のレンガに由来します。実際、ラトソルはレンガの原料として使われることもあります。レンガは赤色であるため、ラトソルの赤色と同じであることをイメージすると覚えやすいです。

また、ラトソルが分布する地域では大量の雨が降るため栄養分が流されて肥沃度が低いやせた土壌となります。こうした土壌では農作物の栽培が難しいため、肥料を与えるなどの工夫が必要となります。

熱帯地域で農業をするときの伝統的な方法として焼畑農業があります。これは熱帯雨林など自生している植物を焼き払い、残った灰を肥料にする農法です。

また、ラトソルが分布する地域ではボーキサイト(アルミニウムの原料である酸化アルミニウム)が採掘されます。

ボーキサイトが取れる地域では、もともと花崗岩などの岩石が土壌に分布していましたが、雨や風によって溶かされてしまいました。その残りカスが集まってボーキサイトとなるのです。

乾燥帯の土壌:砂漠土は塩基性が強くやせている

砂漠地帯では空気が乾燥しているため、土壌中の水分が地表に集まり、蒸発してしまいます。このとき、水分は蒸発して空気中へと出ていくわけですが、塩分は取り残されてしまいます。

例えば、食塩水を加熱すると食塩の結晶ができるように、塩分は空気中へ逃げることはありません。そのため、砂漠の地表には塩分が集まり、アルカリ性の土壌になります。

基本的に、アルカリ性の土壌では植物を育てることが難しいため、農業は行われません。例外的に、ナイル川沿いなど水を確保できる土地ではオアシス農業が行われ、アブラヤシなどが栽培されることがあります。

ステップ気候では栗色土が分布する

ステップ気候(BS)では雨季があるため、草原ができます。この草原ができる土壌を栗色土と呼びます。名前の由来は土壌の色が栗のような茶色の土壌であることにあります。

ただ、乾燥が強いため、土壌中の塩分が地表に集まってしまい、強いアルカリ性を示す土壌となります。こうなってしまうプロセスは砂漠土と同様です。なお、栗色土が分布する地域より降水量が多くなるとチェルノーゼムが分布するようになります。

また、ステップ気候では干ばつが頻繁に起きるため、農業用の植物を育てるには不向きです。この地域で農業をするには灌漑などの工夫をしなければいけません。

ウクライナのチェルノーゼムは肥沃な土壌

ロシア平原~ウクライナなどに分布する黒色土をチェルノーゼムと言います。チェルノーゼムの分布は乾燥気候と湿潤気候の境界に分布するため、ステップ気候(BS)や西海洋性気候(Cfb)あるいは冷帯湿潤気候(Df)の地域などでみられます。要は栗色土が分布する地域より降水量の多い地域にチェルノーゼムは分布しています。

ちなみに、チェルノーゼムの分布を覚えるとき、私は原発事故で有名なチェルノブイリに名前が似ているということで覚えていました。チェルノブイリはウクライナにある都市であり、この周囲はチェルノーゼムが広がっています。

チェルノーゼムが分布する地域では夏に乾燥するため、植物が枯れてしまいます。それが腐って肥料となります。また雨が少ないため、土壌の栄養分が流れ出ることがありません。

そのため、腐敗した土壌が積もりに積もってできた土壌は非常に栄養分が高く、黒色になります。ここでは肥料を与えなくても農作物の栽培が可能な土壌となります。要するに最強の土壌はチェルノーゼムと言うイメージになります。

ウクライナでは小麦の栽培が盛んですが、これは肥沃なチェルノーゼムによって栽培されたものです。ちなみに、ウクライナの国旗は以下のように青と黄色の2色で構成されています。

これは小麦畑と青い空を表しているのです。この小麦はチェルノーゼムによってつくられていることをウクライナ国旗を見るたびに思い出しましょう。

北アメリカのプレーリー土は肥沃な土壌

プレーリー土は北アメリカのやや乾燥した地域に分布する黒色の肥沃土です。プレーリー土が肥沃な理由はチェルノーゼムとほとんど同様です。

ただ、プレーリー土が分布する地域ではチェルノーゼム分布地より若干降水量が多いです。そのため、栄養分が流されるため肥沃度はチェルノーゼムの方が大きくなります。

また、チェルノーゼムでは乾燥が強く塩分が地表に集積していますが、プレーリー土では雨量が多いため、塩分が水に溶けて流されます。そのため、チェルノーゼムよりアルカリ性が弱い土壌となります。

こうしたプレーリー土に生息する動物としてプレーリードッグが有名です。北米の草原地帯(プレーリー)に穴を掘って巣穴を作り、群れで生活します。”ドッグ”と付くため犬かと思いますが、げっ歯類に分類されるため、ネズミやリスの仲間です。

温帯の土壌:褐色森林土は日本でもみられる

温帯の混合林や落葉広葉樹林の下に分布する土壌として褐色森林土があります。日本の森林土壌ではほとんどの場所で褐色森林土がみられます。

褐色森林土とは文字通り、森にある茶色の土壌です。日本の山で土を掘ると、茶色い土が見えますが、これが褐色森林土ということになります。

植物の落ち葉などが積もり、腐敗することで栄養のある土壌となります。ただ、降水量が多いため養分が流れてしまい、チェルノーゼムやプレーリー土と比べると肥沃度は劣ります。また、降水量が多く土壌の塩分は溶けてしまうため、土壌は弱酸性の傾向を示します。

冷帯の土壌:ポドゾルは酸性が強く農業に向かない

冷帯の針葉樹林(タイガ)が分布する地域にはポドゾルと呼ばれる土壌があります。ポドゾルは酸性が強い土壌であり、農業に向かないという特徴があります。

ポドゾルが酸性になる理由は寒さにあります。針葉樹林の落ち葉や枯葉が地面に降り積もりますが、寒さの影響で落ち葉を分解する微生物の活動が弱く、完全に分解されません。

このとき、真菌類(キノコの仲間)などによって分解を受けますが、同時に酸性物質も生み出してしまいます。そのため土壌全体が酸性を示す土地になってしまいます。酸性が強いと植物が育ちにくい土壌になるため、農業には不向きです。

また、酸性度が強いため土壌中の金属が溶けてしまいます。こうした影響で土壌の色は灰白色(かいはくしょく)となります。

寒帯の土壌:ツンドラ土の下には永久凍土がある

寒帯では気温が低すぎるため、地下には永久凍土が広がっています。そのため樹林はみられず、コケや地衣類(ちいるい)などが短い夏の間に育ちます。

夏場に育ったコケや地衣類(ちいるい)は冬になると寒さで枯れてしまいます。この枯れたコケが腐り、ツンドラ土となります。ツンドラ地域の夏は永久凍土が融けた水分をコケが保持するため、湿地を形成することが多いです。

間帯土壌は気候とは関係なくできた土壌

熱帯や温帯といった気候区分に関係なく、その土地の土の成分が影響している土壌を間帯土壌(かんたいどじょう)と言います。のことです。土壌のもとになった母岩の影響が強く、母岩分布領域と関係して成帯土壌の間に局地的に分布していることが特徴です。

テラロッサはヨーロッパに分布する石灰岩が風化した土壌

ヨーロッパの地中海沿岸は温帯気候であるため、褐色森林土などが分布しているような土地です。しかし、イタリアやクロアチアの土壌は石灰岩が広く分布しており、石灰岩が風化した土壌であるテラロッサが広がっています。

石灰岩はカルスト地形を作る岩石であり、酸性雨によって融けてしまいます。石灰岩が長い年月をかけて完全に溶かされてしまい、その残りカスがテラロッサとなります。

石灰岩の中には鉄分など金属成分が含まれていますが、これは水で溶かされることはなく、土壌中に残ります。そのため、土壌は酸化鉄などの色を反映した赤色になります。

私はテラロッサを覚えるとき、ヨーロッパと発音が似ていることに注目しました。「テラロッサはヨーロッパ」となんども唱えることで暗記しました。次に説明する「テラローシャ」と間違えないよう気をつけましょう。

テラローシャはブラジルに分布し、別名コーヒー土

テラローシャはブラジル高原南部に分布する土壌であり、赤紫色の土壌であることが特徴です。テラローシャの元になったのは玄武岩などの火山岩です。

テラローシャは肥沃な土壌であり、大規模なコーヒー畑が作られました。そのため、テラローシャはコーヒー土という別名がつけられました。

レグールはインドのデカン高原に分布する玄武岩が風化した土壌

インドのデカン高原は玄武岩の地層が広がっており、それが風化してレグールと呼ばれる土壌ができました。

レグールは肥沃な土壌であり、大規模な綿花畑が作られました。そのため、レグールは黒色綿花土と呼ばれることもあります。

受験合格には効率的な地理の勉強法が必須

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